2021.09.26(2-p.150)

奥さんが台風16号の進路についてリツイートしているのを見て、ゲエ台風ゲエ、と呻くと、奥さんは、口からツイート出てるよ、と呆れた。口からツイート出ちゃった。

午前中は洋服の整理。ふたりでビニル袋四つぶんの布を捨てた。僕は新入社員の時に生活費を削って無理して買ったスーツがダサかったので全部捨てた。当時の苦労や背伸びなど知らん。いまダサければ全部捨てる。せいせいした。奥さんより早く作業が終わったので、私が苦労している間はあなたも苦労してて、という言いつけ通り秋に出すZINE『会社員の哲学』の原稿を進めるはずがなぜかAffinity Publisher で日記本の組版を始めていて、夢中になって昼ごはんも食べずに夕方までやっていた。大阪で文フリがあったみたいで、たぶんその熱がここまで波及している。組版しながら軽く読み返しているとやっぱり面白くて、プルースト以後の日記はもう本にする気はなかったのだけど、やっぱり本にしようと決めた。Affinity Publisher は全然使い方が分からなくてマスタページの更新が更新されなかったり、そもそも文字の流し込みで自動のページ送りと追加すらできなかったりで、おそらく途方もなく無駄な時間を過ごしたが、形になってみるととても格好が良くて、我ながら惚れ惚れする。今後シリーズ化するにあたっての雛形作成という意味ではだいぶ失格なのだが、まあいいや。秋には少なくともこちらは出るだろう。プルーストの直後から、去年の七月ごろまで。ちょうどパンデミックを跨ぐ時期の日記。表紙をどうしようかな。いっそ誰かにお願いしようか、でも自分でやるのも醍醐味なのだよな、と迷う。久しぶりに組版作業していて、こうして形を整えてく作業のなんと地味で奥深くキリがなく面倒なことかと改めて思った。こんなこと好き好んでやるやつ──僕だ──の気がしれない。なぜわざわざお金を払ってこんな苦労をするのか。その通り、僕はそんなことわかっている。楽しいからだ。けれどもすでに僕は一人で作ることに固執できそうにもなく、人と作る楽しさも知ってしまっている。特に発注は楽しい。表紙くらいはお願いしちゃえばいいんじゃない? とそそのかす声がする。一晩考えよう。

有意義に時間を過ごしてもう五時のチャイムが聞こえてくる。おやつを食べて奥さんと散歩に出かける。なんだか生産性高く日曜を過ごしてしまうとちょっと「しまった」という気持ちになるね、というような話をしながら歩いて、コンビニでアルフォートを買う。ファミチキとスパイシーチキンを半分ずつ食べながら、自分たちの住む街の、高架の向こう側を歩いていく。もうさっぱりわからない道で、どこに続いているのかも検討がつかない。いい迷子っぷりで、満足度の高い散歩だった。見知った駅前に出た時はほっとした。

今夜配信の録音。日曜に録ると余裕がない。

夕食の前後に配信準備をしながら「月姫」の別のルートを探索。あとどんなルートがあるのか分からないけれど、前回と違う選択を進んでいくと大体死んでく。紙一重の道行だったんだな、と気がつく。知らない間にずいぶん助かっていた。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。