2021.10.25(2-p.166)

朝起きてかるい二日酔い。

昨日の話をしよう。昨日は早起きして、奥さんとのんびり過ごしてもまだ午前中だった。お喋りをしようか、と録音を行って、それから近所を散歩。サイゼリヤで豪遊した。ラムのラグー トロフィエ、ガーリックトースト、プチフォッカ、プロシュート、チョリソー、ポップコーンシュリンプ、フリウリ風フリコ、バッファローモッツァレラ。ワインを少し。食後にプリンとコーヒーゼリー。チョリソーの付け合わせとフリコで芋かぶりでお腹がいっぱいになってしまった。近くの果物屋さんでジュースを買って、洋梨のジュースとみかんジュース。みかんジュースはみかんそのもので、噛んだみかんの味がする、と奥さんは言う。公園のベンチで飲み終えて、そのまま期日前投票へ。はじめて出口調査に出くわした。奥さんの乗る電車は階段を上ったホームから、僕は下るところにあるホームから出る。お互いに上ったり下りたりしながら見えなくなるまで手を振っていた。解散。電車では『第五脳釘怪談』。待ち合わせ場所でも読んでいたから実にわかりやすい目印になった。錦糸町で大いに飲み喋る。実話怪談と心霊ドキュメンタリー、大きな括りでのホラー映画について楽しく話し、ここで語られていることこそが「ホラーのリアリティ」じゃい、と思い上がる。いくつか教えてもらった怪談もいい話だった。久しぶりの飲酒だから気をつけよう、と思っていたのに、わりあい飲んだ気がする。気分よく酔っ払って、ぶじ帰宅できるとますます回る。水を飲んで熱いシャワーを浴びて、歯を磨いて歯を磨いた。どうも口臭も肌から分泌されるものもまだ酒臭い気がする。自分がすごく臭い気がして奥さんには近づけない。スコンと眠る。

それで今朝見るとMi スマートバンドが毎晩測ってくれる睡眠スコアが初めて90点を超えた。ほんとだろうか。僕は毎晩おおよそ総計10分くらい「覚醒」の時間があるようなのだけど、昨晩は「覚醒」することなくみっちり眠れたようだった。しかしもちろん二日酔いで体調はよくない。顔を洗って歯を磨いてうがいをして水をたくさん飲んでコーヒーを淹れて騙し騙し過ごしていく。洗濯機を回して今朝配信の午後さんとのお喋りの後編を聴き直す。この兄弟の会話はふだんより速度が遅いな、そして平気で何秒か黙るな、と思って自分で愉快だった。

「早稲田文学」の巻頭対談と福田安佐子のゾンビ論を読んで、『異常論文』の「無断と土」を読む。「無断と土」目当てで買ったようなものだし、本当にこれしか読まないかもしれないが、これだけ読めれば十分、という作品だった。特にポストモダンと分類される人文書を読む時、現実を素材としつつ、現実を侵食し変容せしめようという試みはどんな小説よりもフィクショナルな興奮があると常々思っているからこそ、人文書の体裁で書かれる法螺話は大好きだった。思考実験による可能世界の構築という意味で、たしかにこれはSF 的発想だと思いつつ、もっと評伝や、民族誌や、哲学書の方法を援用した小説が読んでみたいな、と思えた。心霊ドキュメンタリーがドキュメンタリーの手法を盗用することで生まれる面白さを想起する。小説も別の文書の方法をもっと盗んでもいい。

あとはなんだか昏昏と眠ってしまった。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。