2021.11.25(2-p.166)

昨晩から綿密な計画を立てていたのだ。

まず、朝は新刊の紹介ページの写真と文章を準備する。9時のオープンめがけて郵便局に。新刊を幕張に郵送する。それから一度家に戻って、新刊紹介ページを公開して、紙袋とトートを持ってまた出る。電車の中でツイートやInstagramでの新刊紹介を作ってすぐに公開。午前のうちに下北沢、日記屋月日へ。こんにちはー、と入店して早速納品。半年くらい前に入ったという店員の方に対応していただく。最初の頃と比べて随分日記のZINE が増えましたねえ、などと謎の先輩風を吹かす。やな客。アイスカフェラテをいただく。いい天気だな。

そのままさくっと小田急に乗り込み、新宿で山手線に乗り換える。ここの導線は学生のころの記憶がまだ体に残っている。各駅のホームを降りて短めの階段を登って右手の連絡改札を出てすぐにホームへの階段を上っていく。僕はそこでフルーツジュースのスタンドの方へ折り返して待つのが好きだった。馬場で降りると知らない場所になっていた。三流の地方都市感。馬場歩き。途中一風堂ではやめの昼。NENOiさんへ。根井さんとヒロアカの学徒動員展開への違和感を語り合う。根井さんは学徒動員が受け入れられない。学園ものでいてほしい。僕もそうだが、しかしヒロアカはヒーローものとして、今の時代に必要な批評性をちゃんと持ったままに、だからこそ学園ものから離脱しなければいけなかった、まだ僕はヒロアカを信じたい、というようなお話をした。単行本派なので本誌でどうなっているかは知らないし知りたくないが、ぶじ完結してほしい。武塙さんの『諸般の事情』は月日で買おうと思ったら既になくて、在庫の僅少であることを察知したのでこちらで以下三冊とも買っていく。

今日の移動中はほとんど本も読まず、新刊の提案メールやその返信の返信や、とにかく連絡ばかり行っていた。スプレッドシート上に簡単に数値を入れ込んでおき、来月届く増刷ぶんの振り分けを考えていく。たっぷり余裕をもって移動計画立てていたのに、うっかり反対方向の電車に乗ったまま長文メールを打っていたら随分遠くまで運ばれてしまって結局ギリギリになる。余裕をもっておいてよかった。ようやく文フリで手に入れた「うららかとルポルタージュ」の戯曲を読みはじめる。体が動き出しそうなテクストだな、と思ってオフィスマウンテンを想起して、なるべくこのままゴロッと空間に置きたい言葉だな、と思ってカゲヤマさんの芝居を思い出していた。ちょうど北千住に着く頃に読み終える。しかしこれは稽古したくなるテクストだな。どんどん楽しみだった。

BUoY。Dr. Holiday Laboratory『うららかとルポルタージュ』。いきなり他団体の話に逸れるけれど、僕はカゲヤマ気象台という作家がやってきたことは、一定の強度のあるテクストを空間に立ち上げるために、テクストと同程度に俳優の諸感覚をバラし、それぞれ統合しえない異物として扱うという方法だったと理解しているのだけれど、そうしたテクストを扱う方法がここまでわかりやすく汎用性の高いものになったんだな、というようなことをまず思った。同じような分解を行いながらもむしろテクストを肉体に従属させたオフィスマウンテンを経由しているのかもしれない。あるいはVRという装置によって統合しえない多数性みたいな素材のあり方がはっきりと前景化していたからとっかかりがあるように思えたのかもしれない。とにかくテクストと俳優とが等価に配置された空間はとても演劇として健康的な感じがあって気持ちがよかった。テクスト内にだけ居場所を限定されてしまった幽霊を、死体という具体に引き戻そうとする行為として上演がある。なによりも、分離され統合されない要素たちが「統合されない」ということにネガティブな意味づけがなされていないのがすごくよかった。ばらばらなものはばらばらなまま、特になんの象徴も必要なしにただ隣り合うことができる。この辺りが「無断と土」と対応するところなのかもしれない。象徴や民族というフィクションを介さないままの諸要素の在り方の提示というか。そこまでテクスト上で意図されていたかはわからないけれど、そもそも戯曲という形態を選択している時点でそういうことなのだろうとも思う。上演としてはとても素直で正攻法な演出のつけ方で、それも爽やかな感じ。

ほくほくした気持ちで帰って、奥さんは仕事の憂さ晴らしにスプレッドシートをメンテしてくれる。とても簡便で扱いやすく、ほしい情報がすぐに確認できるいいシートになって、奥さんは格好いい。Twitterでいつも「いいね」だけしてくれる思慮深く勝手に親近感を抱いている人たちが、リツイートしてください、とツイートするとリツイートしてくれて嬉しい。僕はほぼTwitterでだけ営業をかけているが、それでもやっぱり確実に追加や新規の注文が入ってくるので効果はあるのだろう。今回はInstagramも頑張ってみるつもり。

すごいポテチが食べたい気分、とコンビニに出かけていく。奥さんは「すごいポテチ」情報をslack で教えてくれる。僕はポテチへの気持ちがすごかったのだけど、すごいポテチもすごそうだった。普通のポテチを買った。一袋食べた後にふたりでピラティスの先生の動画を見ながら肩甲骨を鎖骨を意識しながら動かしていく。とてもつらくて、顔を真っ赤にしながら頑張った。いい俳優の肉体を見るたびに、柔軟体操の重要性を感じる。柔らかくて可動域が広くてよく動く体ってすてきじゃん。なに、急に、じゃん、とか。やめなよ。

きょうはGmail とTwitterばかり触っている。返信、返信は早めに、なぜならそうしないと忘れてしまうから。それでTwitterにたくさん投稿してそれを切り貼りして日記にしようと思っていたのだけれど、奥さんにTwitterコピペの日記はつまんない、と言われてしまったのでなるべくちゃんと書いた。ROTH BART BARON の新しいアルバムをずっと聴いている。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。