2020.12.07(1-p.365)

FGO をちょっと遊んでから本を読もうと思っていたが、FGO が楽しくてクリアまでやってしまった。こうやってタイミングによっては読書よりも優先したいことがあるというのは喜ばしいことだ。楽しいことはいくつあってもいい。FGO は章によってシナリオが好みかそうでないかがはっきりとしていて、昨晩観に行ったキャメロットは正直そんなに好きじゃない。なんで観に行ったのだろう。でも、ニトクリスが可愛かったからそれはいい。今回はわりと好きだった。夢破れても、恋が叶わなくても、すべてを忘れてしまおうとも、物語を綴り続けろ、そういう話で、そういう話は好きだった。

すっかり暗くなっていて、本を読み出すかコーヒー豆を買い足しに行くか迷って、先日買った可愛いダウンを着たくて仕方なかったので、散歩がてら外に出ることにした。可愛いおべべは外に出たくなる。ON READING の黒田さんがSpotify で公開している「winter」というプレイリストを聴いていた。無料版の広告が増えた気がして、帰ってからぜんぶAppleMusic で探してライブラリに追加して聴くことになる。今は近所のコーヒースタンドで100グラムずつ買っていて、月に二回ほどドトールで200グラム買っていた頃と比べると減りが早いのは当たり前で、コーヒー豆の補充は前回はいつだったかと調べると日記は26日のものに買いに行ったとあったから、十日ほどの感覚だ。そんなものだろう。日記を書いているとこういうときに便利だ。記憶の外在化。きのうはすでに僕にとっても他人事だ。すでに先週の日記が自分というよりもただ文字として感ぜられて、外に出したものというのはすぐ自分にとってもよそよそしかったり不気味だったりするようになる。

我が家では、憂鬱だったりそわそわしたり、自律神経の乱れが起こるとつい出る「あー」というような声に続けて、テトラポット登おってぇ、と続けるのがお約束になりつつあるのだけど、aiko がテトラポットに登ってからどうするつもりだったのか思い出せないことに気がついた。そもそもあれはなんという曲だっけ。「カブトムシ」じゃない、なんか夏の星座にぶらさがるやつもちがう、夏の星座にぶら下がってどうするかというと、上から花火を見下ろすのだ。ということは夏の星座にぶら下がる奴は「花火」だ。検索するのは癪なので、AppleMusic の「はじめてのaiko」というプレイリストから直感を信じて選んだその曲がまさにテトラポットに登る曲だった。宇宙に向かって靴を放っていた。aiko はさらっと壮大だからすごい。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。