2020.12.14(1-p365)

朝起きてすぐ掛け布団と敷布団のシーツを洗い出した。亀も洗った。窓を開け放って換気もした。

本棚からいそいそと『読書の日記』と『2666』と『ウェイリー版 源氏物語』と借りている『負債論』を引き抜いてきて自著とともに積み上げて写真を撮った。それをツイートすると、思った以上にいい反応を続々ともらう。本を分厚さでありがたがるのって、ちんちんはデカさが大事みたいなのと同じ感性だよね、と言うと、奥さんはお前がそれを言うの……? という顔で、そうだね、と応えた。僕はちんちんはどうでもいいが本は分厚いとテンションが上がってしまうし、ラテンアメリカの小説でバカみたいな巨根が出てくるとゲラゲラ笑ってしまう。

『ハイキュー!!』はあっという間に放送分まで追いついてしまっていて、お昼を食べながら最新話を観た。胃がキュッとなって、まったく食事に向いていない。奥さんと二人してぶええ、と声を上げて、目頭を熱くした。来週で4期も終わりだろうか。5期は待てそうにない。

買い物で出る用事があったので、帰りに漫画喫茶に寄る。結局5時間半くらい居た。嗚咽を上げながらどんどん読んで、素晴らしい漫画を読み終えた。常に「次」がある物語は最高だな、みんないい子のまま、こんなに格好よくなった。刹那に賭けるスポーツ漫画で、この終わり方はほんとうに意味がある。みんな生活は続く。終わるまでは終わらない。人生のピークは一度きりじゃない。何度だってありうる。次を見据えている限り。

呆けながら携帯に手を伸ばすと、そろそろ帰っておいで、とslack が入っていた。帰って奥さんと存分に『ハイキュー!!』の話ができるのが楽しみだ。

そう思って帰ってきたはずなのに、感情が大きすぎて言葉にならない。田中先輩が、みんなが、そう言いながらまた泣きそうになってしまったので、奥さんは困ったような顔で受け止めてくれた。安心して背中を任せられる頼もしさ。ここで言語化できなくてなにがニッカー(日記を書くポジションの人)だよと思ったが、ちょっときょうのきょうでは無理。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。