さいきん寝不足であることを自覚したので今朝は布団の中でのんびりとした。『ALL YOURS magazine VOL.1』を読み終える。ひとりの人間の一個の生活をなるべく嘘や省略なしにパッケージしようとするとそれは雑誌のようになるんじゃないか、と自分でZINE を作るときにも考えていて、それは事業を語るときにも当てはまるようだった。纏うことを思想や運動にしていこう、という気持ちのよい態度。思えばセットアップだけでなく、キテテコや、シャツや、パーカーなど、オールユアーズの服をいくつも持っていたのに、ABC で木村さんとお話しした時はセットアップの話しかしなかったのはなぜだろう。たぶんすごく当たり前に着ているから、意識に上りにくいのだ。それは凄いことだと思う。
toi books、BREW BOOKS、blackbird books、日記屋月日、くじらブックス。東京、大阪、沖縄から届く入荷ツイートに、ぜんぶいちいち昂っては、部屋の中を行ったり来たりする。
夫婦の生活の匂い、日々湧き起る疑問。 それらは本を読むことと地続きで、多数の本が引用され、毎日は過ぎていく。 保坂和志を読む喜びを知っている人にはどハマリすると思う。
分厚すぎるけれどとてもかっこいい造本。
https://blackbirdbooks.jp/?pid=156255874
というblackbird boos さんの紹介文と、くじらブックスさんの
厚み(4.5cm)が気にならない軽さ、開きやすい製本、手になじむ紙質、シンプルできれいな装丁。読む喜びを体感できる造本です。
https://twitter.com/lahdk4u8/status/1338784021870874629?s=20
という紹介がとても嬉しい。中村さんと平本さんが考え、試し、実現してくれた形を褒められるのがいまはいちばん嬉しい。それに、日記がいいものになったのは奥さんとの生活がいいものだったからなので、奥さんとのことを掬い取ってもらえるのも嬉しい。
磯上さんの「嬉しい溢れていて、読んでるこっちまで嬉しくなっちゃう一冊」というのを見て、はっとする。去年は、屈託なく嬉しがったり楽しがったりすることを実践する年でもあった。今年は、屈託、めちゃあったな。明日のトークイベントも、そのまま西進して京都や大阪の書店を巡るのも、楽しみなのだけど、いま移動していいのか、とか、どうしたって屈託はある。それでも、とにかく楽しみだという気持ちは嘘じゃないから否定したくはないし、移動距離は直接の原因ではなく、飛沫防止のない場所で密集することがリスクなのだであるとか、自分なりに正しく怖がっていたいという考えもあって、じぶんのごきげんを、自分の中であいまいに肥大しがちな社会性のようなものよりも優先してやりたい気持ちがある。わからない、やはりこれを屈託なく肯定することはできそうにないが、大切なことは部分否定を上手に使うことだ。
「海外文学・ガイブン Advent Calendar 2020」の記事はすでに一週間くらい前に書き終えていて、しかし皆さん力作ばかりで、特にきょうの三柴さんの記事はやばかった。僕も『サラムボー』と『ボヴァリー夫人』で交互浴したい! 整うのかはまったくわからん! と思わされる名文。これの次が自分なの嫌すぎる。いまからでも書き直そうか、と一瞬思うが、もう仕方がない。僕にあんな文章は書けない。気の抜けた炭酸水のようなものだって、好きな人はいるはずだ、と思うしかない。
明日、名古屋は雪らしい。