2022.06.20

朝ふとしたことで親指の傷がぱっくり開いたらしく、絆創膏が引くほど赤く染まった。

へとへとになって帰ると奥さんがこの世の終わりみたいな顔をして仕事をしていて、僕よりも大変そうだった。寝室で退勤を待ちながら出迎えのイメトレをしていたのだが全然こないので寝落ちてしまった。寝室は蒸し風呂のようで、脱水で死ぬかと思う。頭がガンガンして水を飲みにリビングに行くとちょうど退勤したところらしく夕食。

それから先に寝室で伸びているところに入っていくのだが、僕が無の顔で見下ろすと奥さんは救けを求める顔をしてた。これは出とちったな、と思ったので一度部屋を出て、気合を入れて気持ちを作り直す。いまできる最大出力の笑顔で奥さんの元に届ける。

笑顔で救ける──

たいへんなことだ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。