2022.07.23

昨晩はなんだか夜更かしモードで、二十五時から録音を始め、たっぷり一時間半しゃべった。布団に入ったのは三時過ぎで、JUNK も終わる時間だ。学生時代、この時間まで起きていると次に始まる番組は六〇年代とかのアーティストを特集するような感じで、明らかにトラック運転手世代を狙い撃ちしていて、今日と明日の境目の時間、そんな前口上だったはず。半分以上のリスナーに向けて「おはようございます」と声をかけていた。それがすごく心細いのだ。この番組も終わってしまうと宗教法人がスポンサーのクラシック音楽の番組が始まり、そうなるともうゆうゆうワイドまで眠れそうにないな、と諦めることになる。そんな話を奥さんにして、あっさり眠った。

昼近くに起き出して、カフェで無花果のタルトとプラムのタルト、それにブラウニーでブランチ。前に来た時は音楽もかかっておらず居心地が悪かったが、今回はちゃんとかかっていて、だいぶ過ごしやすい。ケーキもどれも美味しくて、満足。ブランチといいつつこれだけでは足りなくて、気楽なイタリアンに移動。スマホで注文する形式で、あ、千葉雅也が嫌いなやつだ、と思う。給仕はロボットがしてくれるのだが、人間との連携ができておらず、愚図で可愛い。人間も赤ワインを一本盛大に割って、ホールの事件性が一挙に高まったりしていた。人間は押し黙ったまま、静かにことを処理していて、まるまる二袋分のキッチンペーパーが赤くべちょべちょに染まった。雑巾を使えばいいのに。場所が分からなかったのだろうか、声も出ないほどテンパっていたのか、あるいは怒られるのが怖くてほかのスタッフに報告や相談ができなかったのか、不気味なほどの静かさで、人間は床を拭きあげていた。どうも生パスタは苦手らしい、と数年ぶりに食べてまた思う。先のブラウニーがお腹で膨れて思ったより食べれない。

炎天下を歩いてものすごく具合が悪くなる。夜更かし、アルコール、夏。このコンボは人を殺す。

帰宅して布団に横たわって、iPad で『オカルトの森へようこそ』を観る。楽しい気持ちになる。この次元の市川たちには工藤がいないのだろうか。すでに別離の後なのだろうか。明示的に『オカルト』の系譜にあり、だからこの宇野祥平はきっとあの宇野祥平だ。これからネオも出てくるらしい。祭りじゃん。スマブラじゃん。先日『コワすぎ!』の新作を匂わせるツイートを白石監督がしていたけれど、本作が前振りだったりするのだろうか。マーベルよりずっと以前からマルチバースをやっていた作品世界がどこまで広がっていくのか、あるいはそうした期待を裏切っていくのか、わくわくする。そのまま寝てしまい、起きたら二〇時ちかい。きょうは寝て食べてしかしていないな、と思う。もう二度と夜更かしなんかしない。そう思っていたら今日は本屋B&Bが一〇周年でオールナイト営業だと知って、すごく楽しそう! と思う。新文芸坐のオールナイト上映もまた行きたいな。夜通しの営業ってなんでわくわくするんだろう。翌日は今日みたいに使い物にならないことはもうよくよくわかっているのにな。

シャワーを浴びてミニオンのチョコエッグを開ける。飛行機乗りのケビン。可愛い。『ザ・ボーイズ』観ている時期だと『ミニオンズ』の新作の飛行機のシーンは恐怖が先に来てしまって笑えなかったな、と思い出す。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。