2022.07.26

今朝は先週より3キロ減っていた。ようやく増えてきていた体脂肪率も元に戻ってしまう。日々自分の体の増減を気にするようになると、ずいぶんと流動的なものなのだな、と腑に落ちる。気分も、考えも、体の大きさも天気のようなもので日々移ろっていて、意のままに調整できるようなものでもなさそうだった。

歌謡曲のウクレレアレンジやオルゴールアレンジは、毎回新鮮に不愉快だ。音自体の安っぽさもそうだし、その選択が示す当たり障りのない貧乏くささが耐え難い。たしかにせっかく育てた二の腕が萎んだ気もする。もっと大きくなれ、もっと。そう励ますように揉みしだき、かかっている音楽から気を逸らそうとがんばる。エレベーターにディスプレイが設置されて毎朝安い音で耳を汚される。コマーシャルのナレーターの耳障りな甲高い声。発狂しそうになる。歳をとると不寛容になるというよりも、こればかりは昔から嫌いだった。これだけのことだけれど、本気で引っ越しを検討したくなっている。

うまい具合に早あがりできたので猛ダッシュで帰宅。急がなきゃ、とテンパってテーブルの上の財布や小物を意味もなく遠くに投げていて、なんで? と思う。きれいにまっすぐ飛んでった。夕飯を爆速で掻き込む。なんとか間に合った!

エーステ夏組単独公演。初日の配信を奥さんと観る。冒頭の演出、今はもうないにしすがも創造舎で観た遊園地再生事業団のことを思い出す。前半、これほとんど劇中劇ばりに歌唱が多くない? とすこし戸惑った。とにかく元気いっぱいで、だからこそこれまで以上に儚さも感じる。この儚さはどれだけ今の状況が投影されてしまっているだろう。みんなが元気で明るくあればあるほど、これは終わってしまうのだな、と寂しさも募る。夏だなあ、という感じ。奥さんは終演後すぐ布団にぽそりと身を横たえ、しばらくじっとしていた。僕は先にシャワーを浴びに行く。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。