2022.07.28

神保町の無用之用で林檎箱をもらう。測量してったはずなのに、帰ってみると明らかに大きい。棚の寸法について古いメモを参照していたのだ。自分の粗忽っぷりに結構へこむ。

なんとか収めて、でもこれはまた別の収納計画が必要そう。なんだか林檎箱って憧れる、そんな気持ちだけが先走り、余計なことをしたと思う。でも憧れは仕方がない。仕方なくない。憧れは冷静な判断をできなくする。あと暑さと古いメモを処分しないこと。ぜんぶダメ。

自宅で明日配信のメルマガの準備。負担になりすぎない程度に気楽に、かつ適度に負荷をかけるように真剣に、その塩梅を探るように書いていく。こうしてみると一週間はあっという間で、そのくせ色々と試せるだけの時間でもある。振り返りって大事だなあ、と素朴に思う。この日記は振り返りというよりもライブだから、まとまった時間を塊として捉えて要約するというような態度とははっきり異なっている。メルマガは週報っぽい。より伝達の方法という感じがある。月イチや季刊とはまた違ったリズムで、とはいえ書くのに費やす実際の時間はそこまで変わらない。手間は変わらないのだが内容は明確に変わる。スパンが長ければ長いだけ、内容も自分のなかで保ちがいいものが選択される。週一というのは、日記ほど刹那的ではないものの、ライブ感も維持されるペースだ。一週間で大きな変化はないが、一週間で何も変わらないこともない。

夕方からは円盤に乗る場の会議。すこしだれた部分もあったが、なんだか充実した時間ではあった、特に後半、前向きに具体的な方策がひらけていく手応えがあって、集まって話す効能を思う。終わって軽くご飯。久しぶりに会う可愛い後輩が可愛くてついつい長居。終電その一を見送り、終電その二は路線の豪快な遅延であっさり日付を越える。リリースされたてのビヨンセの新譜を聴きながらiPhoneで日記を書く。明日のことを一回忘れて今この時間を優先する、というのが久しぶりで、帰り道の今となっては後悔してるのだが、そういう愚かな選択がまだできることがほのかに誇らしい。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。