降りたことない駅から歩いて行ったことのない喫茶店に入る。レアチーズケーキ、いちじくとバナナのタルト。奥さんはクラフトコーラで僕はコーヒー。とても居心地のいい空間で、おしゃれすぎず、抜けがある。窓からは公園が見えて、二〇代くらいのがたいのいい男たちが滑り台ではしゃいでいた。駅前に戻ってイタリアンのお店でランチ。うにパスタとペペロンチーノ。僕は白ワインも飲んじゃう。この一年くらい、妙にお酒が好きだ。お酒の場は元から好きだったのだけど、それはお酒が人と話す口実になったからであって、お酒が好きなわけではなかったかもしれないのだけれど、今ではひとりでも飲みたい。つきあいのはずがのめり込んでいく。アディクションというやつだな、と思う。贅沢な素材がシンプルに活かされていてたいへん美味しかったのだがホールのおじさんの威勢がよすぎて雰囲気が居酒屋めいてしまっていた。思いがけずいいものを食べてしまって、きょうのピークはここかもしれないな、と二人は予感していたし、じっさいここからはゆるやかに一日を閉じていくように過ごした。
たらたらと蛇行するようにスカイツリーに向かい、ソラマチでミッフィーの小皿を買う。ソラマチは人がたくさんで、湿気もすごい。今日は上着もいらないくらいの陽気だった。ふたりともすべらかな鼻水が出た。そそくさと退散して、隅田川沿いをぽかぽか歩く。隅田公園の東側のはらっぱやベンチで録音をする。足元を平気で鳩たちが歩き、青光りする羽の大きなカラスが隣のベンチで休憩を始める。その大きさに思わず見惚れる。そのまま浅草まで抜けていって、おとなしく帰る。
お風呂を沸かしてぬくまっていると、授業中のような抗いがたい眠気がやってきて、何度も何度も眠りに引き込まれた。奥さんも二十一時前から眠そうで、二人してあくびを連発している。今週もBUCK-TICK のライブ映像を見ながら夜が更けていく。日記を書く。