金田一耕助の心臓がギョクンとおどった。ギョクンというオノマトペにはしゃいで検索してみると乱歩も用いていたらしい。つまり、ギョクンは怪奇の音だ。週末の読書会に向けて『鵼の碑』を読み返そうと思うのだが、遅かったかもしれない。横溝にかまけている場合ではない。『鵼の碑』を見て奥さんは弁当箱みたいな本だ、と改めていい、きょうは弁当箱の蓋の部分ほどにも進んでいない。買い物に出かけはしたが、なにひとつやりきれなかったなという気持ちになる一日だ。昼寝を一時間半もしてしまった。きのう鏡を見たらものすごく減っていて驚いたからきょうは夕方におやつとしてシチューを一皿平らげたりもした。夕食のすき焼きは味付けがこっくりし過ぎて食べきれなかったのであすもすき焼きで、今日は豚だったがあすは鶏でこれは楽しみだ。冬は寒くて減るし減ると体力がなくなって余計に気が塞ぐから、隙あらば食べないといけない。おやつ用に冷凍のメンチカツを買ってみた。あすはダンベルなども持ち上げてみよう。そうやって体を増やして温めておかないと二秒でしょげしょげする。いまもすこし萎れている。意味はない。なにかギョクンギョクンとするような刺激が欲しい。それはなんだか体に悪いよきっと、なんとなく生臭そうだし、奥さんは苦笑した。