2023.11.22

急に温暖になって頭がぼーっとする。喉の渇きがしつこい。頭がさっぱり働かず、すっきり軽快に思考できる日のほうが少ないはずなのだが毎日のように、ほんとうはもっとしっかり考えられるはずなのに、と感じている。昨晩は寝付く前に明日は絶対に醤油ラーメンを食べるのだという口だったのだけれど、今日はそうでもなくて、でもお昼はラーメンにした。おいしかったが、昨晩の僕のほうが喜んだだろうな。午後はあくびが止まらない。気がついたらカビゴンと寝始めて120日以上経過していて、四カ月も経っているのか、と驚く。四か月前といえば七月だ。まだ暑かった。六月くらいから異様に暑かった。この数年は気候と体調が明白に連動していて、これが加齢のためなのか気候変動の進行によるものなのか、判然としない。若々しい肉体は気圧によって左右されないものなのだろうか。僕はもともと影響があったように思うのだが、ここまでしっかり振り回されるのはこの五六年に顕著で、この五六年とは毎年のように今年は変な天気だなと感じ続けている歳月でもある。この身の老いか、この星の衰えか。比較するにはスケールが極端にちがうようだが。

ずっと寝ていたいと思うが、しかしほんとうに睡眠が必要なのだろうか? 睡眠の質が悪いというわけではない。ぐっすり眠れている。どちらかといえば、寝過ぎというか、布団への未練が断ち切れていないだけで、体調としては思い切って起きてしまったほうが気分がいいのではないか? そのような疑念もなくはない。今日も眠たくはあるのだが、これはきのうのダンベルによる筋肉疲労のようでもあり、どちらかというと心地よいといってもよい類のものだ。

乾燥していてどんどん水分を補給するからトイレがちかい。すべての会議の途中で膀胱が軋む。

家に帰ったらゆっくり湯に浸かって、温泉に行きたい。仲良くなりたい人たちと無意味な温泉合宿に行きたいなどと考える。奥さんの作る手羽元のカレーはうまみがたっぷりでたいへん美味だ。動かないままの僕の表情筋に見切りをつけて、つまんない、きょうはもうだめなのかと思った、とベッドに入った奥さんに懸命に笑顔をつくって見せびらかすと起き出して一緒にゲームを遊んでくれるので安心した。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。