おれの勤労に感謝しな。
いやべつに感謝とかいらんから金くれと思いながら賃労働。終えてHUB 系列のお店でビール。ハーフパインとの半分くらいを一気に煽って、好きな人がやってきた。『最遊記歌劇伝』とのコラボにかこつけてきた。二杯ビールで最後にコラボの甘いお酒を飲んだ。奥さんは二杯甘いお酒で、ピザとロールケーキも頼んだからコースターは六枚くらいもらえたんじゃなかろうか。ユニクロで揃えて着替えたという上下がよく似合っていた。夜の散歩がてらすこし余計に歩いて帰る。歩きながら、読みかけの『第八脳釘怪談』から「ミーちゃんからの電話」、「人間じゃない何かを面接した話」、「強制的に魂を抜かれた話」、「お召し上がりになったので」の内容を語り聞かせる。面白がってもらえた。
帰ってしばらく『一億三千万人のための小説教室』を読んで、『うわさのベーコン』だ、知ってる、『うろん紀行』だ、と思う。武者小路実篤の爺文には何度だってうれしくなる。なんか最近は作文の本ばっかり読んでるね、と部屋にある笠井康平『10日間で作文を上手にする方法 Day1-Day6』を見つけていた奥さんはいう。そうだね、これはひとつの準備運動。いぬのせなか座の本は、そもそもいままともに読み書きできる人ってどれだけいるの? というところまで思考の起点を巻き戻される。何かを読んで書くことはそこまで当然のことではなく、現代においても、どちらかというと変わった営みであること。これを見失うとおかしなことになる。
お風呂では実話怪談が捗る。というか人文書だと頭を使い過ぎて寝てしまうことをいい加減認めるほかなくなってきたから横溝か怪談かに絞られてきている。『第八脳釘怪談』を読み終える。「カープテ」でこのジャンルに魅せられた身としては動物園怪談で幕を開ける時点でおおはしゃぎだった本作で、先に挙げたものの他だと「怒緑仏」、「堀迷宮」、「諤ィ髴頑蕗蝗」、「レポーター」、「宇宙は茸を嗜好する」、「傷蛾管」あたりが好み。これでもずいぶん厳選したのだ。