2024.01.24

オムラヂを聴きながら出勤。丁寧に思い出すように話すようすに、青木さんたちにとってオムラヂが日記なんだなと思う。日記と録音の棲み分けは自分でも曖昧で、どちらかというと日記の方が奥さんと一緒に書いている感覚がある、あるいは、日記を書かない奥さんや読んだ本のぶんまで勝手に引き受けている気分があるが、録音はむしろ我を通そうとする。じっさいの作業としては逆に日記は一人で録音は複数なのでここにねじれがある。あるというだけで、どうこうしようというわけではない。

お節介で引き受けた用事であちこちに連絡をしたりする。すぐそこの未来に楽しみが増えていくのはいいことだ。

マストドンで誰かが紹介していたNON STYLE の白くて長いほうの人がお笑いについて講義している動画を見たいのだけど、動画というのはいつ見ればいいんだろう。特に人と暮らしていると、一緒に見るわけでもない動画を見ようとなるとなんとなく難しい。一人で隔離された時間を確保しなければならず、同居人と仲がよければよいほどなかなかそんな時間はなかったりする。一緒にいてしまうからだ。本であれば、カバーをかけたり電子であればどれだけ下世話なことや即物的な欲望をおだてるようなものであっても澄ました顔で読んでいれば平気でいられるが、動画はどうも恥ずかしい。Twitterを開くと同じ動画が褒められていて、たくさん拡散されていた。Twitterばかり見ていた頃は、結局ここでの話題のほとんどはテレビから来ているんだなと気がついたとき白けたけれど、マストドンで見かけるものはTwitterからの孫引きなのかもしれない。なんであれ、二個三個経由して濾過されていた方がましだということでもあるかもしれない。

夕食は菜の花と牡蠣の鍋でとてもおいしかった。今晩の興行を中継で観戦。一緒に見るものは見られる。海野翔太はファン層も厚そうだがそのぶんうるさがたのおじさん連中からの反感も大きそうで、その困難な前途に思いを馳せてしまう。プロレスは、誰かに好かれる時ほかの誰かに嫌われるという力学が誇張されて前面に出てくるところが面白いところでもあるが息苦しいところでもある。すっかりタマちゃんのことが好き。

お風呂では『テレビが見世物だったころ』と、いただいたプルーフをちゃんぽん。どちらも抜群に面白い。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。