きょうは休みだったので本腰を入れて『新潮』に取り掛かる。一二〇周年ということでやたらに豪華な布陣。連載などは休載でひたすら短編小説と随筆が並ぶ。おそらく年長者から年少者へという順番で、これは周年の重みを寄稿者の年齢にまで敷衍したということなのだろうか。時表は創作に絞ると決めているので、随筆は気になるところだけつまみつつ、連作と明記されているものもスキップする。それでも多い。数えたら二十八作ある。ポモドーロを駆使しつつ、ほぼ一日かけたが、けっきょく随筆や鼎談も目を通してしまってほとんど通読に近い。十六読んで、のこり十二作。一日仕事でこれだけだ。じぶんの愚鈍さを呪う。読み応えのあるものが多かったのは嬉しいが、短編は一作一作こちらが調律をし直す必要があるから連続でばんばん読んでいくというのはかなり疲れる。夜は『奇天烈相談ダイヤル』を遊んで『ゆるキャン△』見てクールダウン。いい回だったが人物の作画がややブレる。風景が主役だからいいのだが。『ゆるキャン△』のアニメを見ると、地元で生きていくとなったら、自分もこのような週末を過ごしながら心地の良い寂しさを満喫したのだろうなという気持ちになる。このような風景を、若い体で感受する、その感じを僕は知っていると思う。だから描かれる風景のいちいちが、記憶の深いところを揺さぶる。ふう、と部屋を見渡すと本が溢れていて、きょうあんなに文字を読んだのに、まだまだ読んでいない文字がこんなにもある、きもちわるっと慄いた。
集中してものを読む時、休憩時間に非言語の遊びを取り入れて脳を休ませたいのだが、Two Dots は難易度が上がってきてけっきょく思考のコストが嵩むようになってきたし、スイカゲームやテトリスは熟達に応じてプレイ時間が長くなるのが難点だ。一セット二分以内に終わる、碌に頭を使わない手遊び的なゲームが欲しい。本当は山や川が見たいのだろう。稜線上を薄いピンクからオレンジがかった赤、そして白へと縁取っていくように照らし出す朝日を眺めながら、指先のかじかみや白い息を実感する。そのような時間が欲しい。
午前中には荷物も届いた。『二人のデカメロン』。来週末のお披露目に向けてだいぶ余裕をもった出来上がり。事前に東京流通センターに送り込む量を明後日くらいまでには確定させよう。この本を携えての用事をだんだん準備しているが、すでにこちら側の在庫が心許ない。どうしたものかな。