2024.05.12

朝は意外に早起きできたのでシャワー浴びてコーヒー淹れて余裕綽々。アップルパイまでトーストして食べた。おかげで遅刻気味に神保町。非哲学者による非哲学者のための哲学入門読書会。今期の課題本はしんどかった。四ヶ月も付き合う意義を見出せず、かなり身を引いてしまった感じがある。いつもの中華屋での懇親会でも思わず愚痴めいた吐露をし、しかしその開示の仕方はずいぶん半端だった。もっと端的に課題本やその出版に期待されたであろう受容環境について考えがあるはずだったが、そもそもそのようなことを真面目に考える気力が萎えるような本だった。大久保さんもいらっしゃって、『NOIZ NOIZ NOIZ』の進捗を伺いつつ、伝説の第一号をいただく。寄稿した「2.5次元舞台を見る目をつくるために」という文章は奥さんと共作で、註釈込みで二万字。俳優、演出、スタッフそして観客を論じ、舞台芸術として2.5次元を批評するための下拵えを行ったつもりだ。はちゃめちゃに読まれたいし、大きな野心も託した。しかし特殊音楽愛好家の発行するカルチャー誌に、しかも誌面の五分の一のボリュームを費やしていただきながら何を書いているのだという気持ちもある。

解散すぐさま大手町で丸の内線に乗り継ぎ新高円寺。海猫沢めろん先生の仕事場で文学フリマ有識者としてポッドキャストの収録。三時間弱わいわい話して、なんだかんだで買いたい本が増えに増える。あと中古のレッツノートを買いたい欲が俄かに高まる。レッツノートに秀丸エディタが最適解なのではないか。企画者であり司会役のぽてとさんは先約があり急いで退散、めろん先生もさくっとご帰宅で、腹ぺこでなんとなしにクールダウンしたい気持ちを抱えた住本さんと二人でいったん丸の内線に乗り込むも、やっぱりこのまま帰るのもつまらなく、新宿でご飯を食べることにする。電車での会話は訥々で、ご飯ご一緒しますかの切り出しすらおずおずしていたくせに、ビールを飲み出すころには愉快に舌も滑らかで、感銘を受けたり、現在地を確認するような話をいくつも交わしたような気がする。あっという間に二十三時とかで、今日は一日頭を使って話し続けているなと思う。楽しいな。こういうことだけずっとしてたい。帰宅するころには日付が変わって、自分のポッドキャストの録音は諦める。今週のヒロアカで泣く。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。