2024.08.06

同じような車両に乗りこんでいるはずなのに、乗り換えのたびにぜんぜんちがう場所に出てしまう。きのうようやく最高効率のルートを開拓したと思ったのだが、それを再現する気でいた今朝の通勤は、電車の前方に乗るはずが後ろのほうだったり、出る改札さえ反対の位置にあるもので、どうしてこうなったのだかさっぱりわからない。意識的になぞろうとしたのが裏目に出て、不確かな記憶がぜんぶ繋ぎ間違ったのだろう。そもそもいま気がついたが、帰りの電車を逆向きにするようにして行きのルートを組み立てていたが、行きと帰りではいろいろ逆向きになるではないか。そもそもホームの場所も違う。それでぴったり一致すると思い込んでいたほうがどうかしている。ということは帰りはうまくいくのだろうか。すでに行きの記憶と混濁してきていて、これまた心許ない。いつかはなにも意識せずともうまくやれるのだろうか。そうなる気がしないのは、べつに分単位でのレコードを更新することにあまり関心がないというか、乗り合わせがよければすぐ着くというだけで、下車から改札までの距離を数メートル短くしたところでそう大して変わらないとも思われるからだった。

朝から串カツが食べたかった。昼から食べられるところはあるのだろうか。けっきょくランチはナポリタン。

玄関からリビングに出るまでにシャワーを浴びたり、二階に上がって着替えたりできるから、帰宅からただいままでの距離が随分ある。まずはただいまと声かけて、その後にいろいろやればいいのだけれど、横着してやきもきさせてしまう。どっちゃり汗かいているから先にどうにかしたいのもたしか。暑さのせいで外を歩くだけで疲労が溜まり、いつだってうとうとしている。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。