なんか今気持ちがぺしゃんこだから、やたらに褒めてもらいたいのだが、無条件なそれでは満足できそうになく、自分のなしたことに対するきちんと根拠のある褒めでなければ意味がない。しかし最近なしたことなど何もないので、どうにもならない。まずは何か褒められるようなことをなしたいが、そのような気力が湧いてこないから褒められたいっていってんの。
そうはいっても、文筆で、別に売れたかない。売れたかないけど、売れていればこういうとき自尊感情の糧にはなるのかもなとは思う。しかし金勘定とおんなじような形で得る自負などつまらない。売り上げでなく、感想が欲しい。じっさい褒めじゃなくてもいい。感想でいい。おしゃべりが楽しい。音や文字を出せば誰かに届き、意味になり、解釈されたのちに別の音や文字がやってくることが素朴に嬉しい。ただ一方的に画面を汚し、空気を震わすのではなく、おなじようでいてぜんぜん違う内容を持ったものが返ってくること。その驚きと喜びいつだってはしゃぐ。ちなみにさっき文筆が分泌と変換されて、分泌で売れたらけっこう気持ち悪いなと思った。
文芸誌をあるていど片付けたので、すこし味見をしていた『虚史のリズム』を本腰入れて読み始める。戦後間もないころの探偵小説という体裁と、やたらに分厚い佇まい。京極夏彦を思わずにはいられない。語り口も愉快だ。憲法と天皇をめぐる議論が繰り広げられ、昨日読んだ國分の講演草稿が響きあう。
夕飯前に奥さんと散歩。作った夕食はちょっとしょっぱくしすぎた。