2021.03.25(2-p.53)

『愛と人生』の寅さんといえば美保純だが84年ごろになってようやく出てくる。85年になってお尻も出てきた。この次の長渕剛のやつでさくらが「なによお兄ちゃん一年も顔出さないで」というようなことを言ったから、ここまで盆と正月の前には帰ってきていた寅さんの、つまりは年に日本公開されていたルーティンが変化したのかもしれない。しかし長渕が細い。ひとは一度むちむちになると細くは戻れない。そう思うと僕は筋肉をつけるのが怖くなるがそもそもそんなにむちむちになるほどのハードワークをする根気もないだろう。FGO のイベントは奥さん曰く「塔イベ」というもので、塔を登っていく、要はブルース・リーの死亡遊戯のようなもので、どんどん登っていくのだが、登るたびに陣地のキャラクターが疲れてしまって、五時間くらい休ませないといけない。だから自陣にたくさん強い味方がいればサクサク進めるが、戦力が偏っているとなかなか進めないという仕様で、今回は僕は初めてのリアルタイムでのネロちゃまの晴れ舞台だから、もどかしい思いをしながらこれまで育ててもこなかった人たちも育て上げ自分にできる最高速度でシナリオを完走した。ネロちゃまはやっぱり格好いい。素敵だった。塔はまだ続くが、とりあえず見届けられたので良かったし、寅さんとFGO の日だったので本はあんまり気合がいるのは読めなくて、きょう図書館で引き取った『走る奴なんて馬鹿だと思ってた』をてきとうに読みつつ寅さんを観たり、FGO で塔を登ったりしていた。図書館への道中、よその団地の前の通りは桜が満開で、ソメイヨシノがいかに人為的な存在かよく知っているつもりでも、それでも植物というのは人間とは違うので、人間の都合や事情に関係なく、その時が来たら花を満開にするそのいつも通り加減になんだか今年は救われるような気持ちになる。右往左往してるのは人間だけで、桜は桜の周期で変わらず花を咲かせるし、生物という意味では僕だっていつも通り寝て起きて入れて出しているだけだった。そういう身も蓋もなさが頼もしくもある。

PS4 のダウンロードで『ジャック×ダクスター』を三作まとめ買い。奥さんの思い出のゲームらしいが、ずっと遊んでたと言うわりに奥さんはすごく下手だ。ああ畜生、ふっざけんな、と思わず悪態が漏れるほど楽しんでいるから、楽しいのだとは思うのだが、よっしゃあ、とかが聞こえてこないから、本当に下手なのだと思う。ずっと先に進めない部分を見かねてやってみると僕もゲームは苦手な方だが二、三回でコツが掴める。ははあ、と奥さんは感心する。私ってやっぱり下手みたい、多分まだ序盤だけれど、すでに記憶にないステージにいる、ずっとさっきのところから進めなかったのだと思う、いやあ、持つべきは自分にできないところを代わりに進めてくれる人だね、と嬉しそうだし、そこから先は今も、うわあ、痛ぇっ、などと楽しそうに遊んでいるので、僕はなんだか過去の奥さんが成しえなかったことを今になって手伝わせてもらったような気持ちがして嬉しい。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。