2021.04.06(2-p.53)

昨晩布団の中でTwitterを眺めていたら『プルーストを読む生活』が東京新聞のコラムで取り上げられたらしいことを知る。えっと驚く。今どき新聞を夕刊まで取っていて、かつコラムまで読んでいて、かつツイートまでしてくれる人がいることのありがたさにも驚く。「多忙なサラリーマン生活の隙間時間をブリコラージュして、文学、哲学、社会学、人類学の専門知や、映画、ゲーム、漫画、ツイッターなど幅広いメディアから得た言葉をクロスさせて、十九世紀パリの日常を二十一世紀東京の日常に織り直す」などと書いてもらえているらしい。なにそれ読みたい! と思うも、夕刊はなかなかコンビニにも置いてないらしい。とはいえこのまま寝てしまうにも寝つけないだろうから、ダメ元で近所のコンビニを巡ってみることにした。あと30分で日付が変わる。こんな時間に外に出るのはいつぶりだろう。こんなにひと気がないんだな。夕刊ってほんとうにコンビニに置いてないらしい。この時間のラックはそもそもガラガラだ。一部スポーツ新聞が残ってるかどうか、のこりの朝刊はすでに束ねられて回収を待っている。コンビニの新聞ラックをこんなに気にかけたのは初めてだった。一年振りの深夜徘徊が楽しくなって、ちょっと遠くのコンビニにも足を伸ばす。夜風が気持ちがいい。歩行者はほとんどおらずトラックばかりが通るので鼻歌を歌っても大丈夫。こういう時間を持てないでいたというのはやはり決定的に何かを損ねているよな、と思い出すように思う。夕刊はやはりなかったが、東京新聞ということは中日新聞ってことだよな、と実家に連絡を入れてみると、なんとわざわざコンビニに探しに出てくれていて、近所のセブンに置いてたよと写真を送ってもらえる。めっちゃ褒めてもらえていた。両親はこの時間まで二人で『ハイキュー!』のアニメを見ていたらしく、いまは白鳥沢戦とのこと。奥さんは覚ちゃんが好きだよと教えると、烏野じゃないじゃん! とのこと。主人公チーム以外はみんな敵らしい。母はスガさん、父は日向が好きらしい。一推しが主人公サイドなのってなんとなく珍しい気がしちゃうが、僕だって田中先輩だ。

それで朝。きょうは朝からぼへぼへで、仕事中は寅さんを二本。ついに満男の恋が始まる。仕事を終えても文字が読める気がせず、『デス・プルーフ』を二周観る。まじで最高の映画。タランティーノの最高傑作。史上最高のラストシーン。僕が一日に二周観ちゃう映画なんて『デス・プルーフ』くらいだと思う。これを書きながら最後のシーンだけもう一回流してる。元気が出てきた。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。