2021.04.12(2-p.53)

けっきょくDMM に三万払った。紙では買わない本を、と思っていたが、紙で買おうとしていたらいつまでも買わないであろう本も買ってしまって、百冊をぜんぶ買った。さっそくiPadにダウンロードして、うきうき読み出すということはせずに、紙で買った本を読む。『tattva』。首肯と首肯しかねるがいい塩梅で同居したいい雑誌だった。雑誌というのは雑に混ざっていなければ。読み手という個人にとってぜんぶが良くてもぜんぶが悪くてもつまらないと思う。思えばこれもビジネスづくぞという気持ちで買った本だった。僕は今年はビジネスパーソンになり切ろうと思う。というか望むと望まざるとにかかわらず僕は今年は忙しそうだから、忙殺されて心が死ぬよりはビジネスパーソンとして心を持ち直したほうが健康で、スケジュール帳をびっしりにしながら楽しいことも面倒なこともちゃきちゃきやり遂げることに悦びを見出す側面を強化していこうというわけだった。しかしほんとうにいろんなことが並走しだしていて、さいきんてきめんに弱っている胃腸、いや胃腸はいま関係なかった、短期記憶では限界で、Todoist は今日という日のタスクは教えてくれるが遠くの予定から逆算していつまでに何をやるべきかを考えるには向いていない。ノートに矢羽を書いたり工夫していたら、あれ、これは、yPad なのでは? と思いつく。家にはちょっと使って埃を被り始めているのがあるはずで、たぶんギリギリ2021年のカレンダーもついてる。べつに日付も書き込むのだからカレンダーはなくてもいいのだけれど。yPad のいちばんいいところは日付を自分で書けるから放置しても空白をつくらずにつかえるところ。過去のページをぜんぶカッターで切り取って新しくなった。この日記を書きながらiPad にダウンロードした『ムーたち』を読んでいて、少し書いては読んで、を繰り返している。これはすごい面白いな。

ビジネスづくということは時機に軽薄に乗るということなので、DMM に踊らされたってへっちゃらだし、気圧の低下に虐げられたって最悪だし、春で浮かれポンチなのは愚かだ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。