ゆっくり寝るはずが早起き。本棚の背板が外れかかっているのに気がついた奥さんと、中身を一回全部出して直す。そもそも側面の板が外側にたわんでいるようだったが、なんとかなった。そのほかの棚板も実はずっとズレていたことが判明し、ついでに修正する。午前中から一仕事してしまった。
今日は予約していたLODGE BISTRO SARU にランチに出かけるためわざわざ学芸大学まで出向くのだ。SUNNY も定休日だというのに。好きな本屋の空いていない街はどことなく物足りない。シャッターの締まっている店の前まで散歩して、BOOK AND SONS を探すも今日は見つからなかった。一本間違った道に入るだけで、まったく馴染みのない風景に囲まれて、ぞんざいに放り出されたような心持ちで愉快だった。諦めて店に向かおうと見当をつけて歩き出すと、これまた全然予想外の道に出て面白い。どうやら道は真っ直ぐ並行のようでいて、ゆるやかにカーブしていつの間にか方向転換している。十分前には着いて、オーダーを熟考する。ふたりはSARU のカチョ・エ・ペペが大好き。これはマストとして、まずはコンビーフと味噌漬けサーモンのカルパッチョ。鹿肉のグリルを頼んでおいて、前菜をゆっくり楽しむ。パスタともう一品は虹鱒の炊き込みご飯に決める。どれもたいへん美味しく、今日はすでにいい一日。満腹で、外は夏。日差しが強すぎやしないか。サングラスと日傘が手放せない。
新宿に出て大塚家具で椅子を検討。どれも同じに思えてくたびれたが、IKEA で椅子に座ってみると全然だめで、いいもののよさを感受するためにはまずよくないものを知る必要があったな、と思う。大塚家具にあるやつだったらなんでもいいのだと思う。でもやっぱり、仕事用の椅子というのは家に置きたくないというか、端的に可愛くない。高島屋の東急ハンズも冷やかす。結局なにも買わずに、サザンテラスで途方に暮れるが、こういう時は帰ったほうがいい、と電車に乗る。お昼に正解を出してしまうとそのあといつも方向を見失う。けれどもなんとなく二人とも、このままじゃ終われねえ、という気持ちがあって、銀座に出て、お茶をして、甘いものを食べたらまた動けそうだったので蔦屋書店で「るきさん」の展示を見に行った。原画でなく複製原画だったし、島一つぶんの小さなものだったが、文庫サイズで読んでいたものが大きなサイズで見れただけでも嬉しかった。文芸の棚に『うろん紀行』が積まれていて嬉しい。群ようこの隣じゃん、と奥さんが言う。
それで帰宅。そろそろ秋の文フリのことを考えなくてはいけない。ここまで依頼原稿を楽しく書いてきたが、イベントも含めいったん落ち着いて、ここからは楽しくて面倒な用事を自分で作らなくてはいけない。そろそろ本当に書かないとまずい。焦りはないが、やる気もない。どうにかやる気を出して、なんとかしたい。自分宛に企画書でも書くか。締め切りを明示されれば僕は十日くらい余裕を持って書き上げる自信がある。