家を出る前に『最高の任務』の表題作を読む。反り腰を気にして終盤はずっと骨盤を意識しながら仁王立ちの姿勢を取って読んでいたのだが、最後の二、三ページは泣けてしまってずびずび鼻水をすすっていて、背後のソファでくつろぐ奥さんの静けさが、聞こえているな、というのを際立たせる。家の中で立ち読みして泣いてるの、どう考えてもバカみたいでよい。喪失に抗うようにして書く人を中心に置いた作品を立て続けに読んで、この作家のイメージが固まりそうになっているけれど、他のも読んだら変わるだろうか。もうすこし読んでみたいな、という気持ちにはなっている。小説というのは現在進行形で面白いことが実験されている現場なのだという感覚が微かに芽生えてきていて、同時代のものを読みつつ、過去の実験についても驚いていきたいなと思う。
そういえば昨晩も、楽しみにしていてようやく届いた『いくつもの月曜日』の冒頭を、足ツボの板の上に立って読んでいたっけ。立ち読みブームかもしれない。
『IN/SECTS』の「いいお店のつくり方」特集が保存版として書籍になったと知り、最初にそれを知らせてくれたblackbird books で注文する。もちろん大好きな特集だった。1も2も買って、この特集の影響でVOU の帽子が家に三つもある。
近所の本屋でサフォンの四部作の完結編を買う。もう出ていたんだな。先月は発売日を知ってはしゃいでいたのに、気がついたら出ていた。まずは前三作を読み返さないと。なんも覚えてない。ユリイカも買いたかったのだけど、発売は明日とのこと。Twitter で告知を見かけるともう出ていると錯覚しがちで、よく先走ってお店に走ってしまう。
移動中の電車ではユリイカを読むつもりだったので、手持ち無沙汰の勢いで『メイドインアビス』全巻を電子で買って読み進めていた。漫画には漫画でしかできないことを、アニメにはアニメでしかできないことをやっているのだと知れた。これは同じだけど別物だ。すごいことだ。いまアニメでやっているところまでは、まずアニメで追おうかな、という気持ちになる。
中野で大学の同期や後輩のお芝居を観る。今日は目当てのお店が定休日だったり満席だったりする日で、意図せず「じゃないほう」を選ぶ一日だった。雨が降り通しの予報だったから雨靴に長傘で準備万端だったのに、家を出てすぐの小雨の後は降りもしない。
家に帰って録音、日記。こうして書くとなんだかやけに本を買う一日だった。書かなかったとしても事実そうなのだけれど。書いたからこそ強調されたり、軽く流されることもある。