いよいよ新刊の修正作業に手をつける。今回ははじめて図表をふんだんに用いてみたのだが、その画素がどうにも粗くなってぼやけた仕上がりになっている。たぶんPNGとかに変換しないで直接オブジェとして配置しないと文字と同質の解像度で出力できないようで、原因と対策はわかったがこれらを差し替えるとなるとすべての図表をほとんど作り直し、全体のレイアウトも組み直しかつページ数は動かせないということになるのでだいぶ面倒くさかった。工数の見通しを立てた時点でしばらく呆然とし、それならまず本文のチェックからやるべきなのだがもう気持ちが手を動かす方に行っているなか静かに文章をチェックするというのはかなり難しい。スクワットと腕立て伏せをして鎮まり、それから読んでいく。けっこう直すところある。労働をさっさか済ませ、いよいよ図版に取り掛かる。なんとか目処がついたが昼食を食べそびれた。奥さんが心配してやってきたけれど、いま人間辞めてるから、と食欲がないのをいいことに抜いてしまった。そのくせ半端な時間にお腹が空いて食べてしまったので、なんか食べすぎる。夕食までにさらに根つめて作業して、なにかに没頭するとすぐに人間を辞められてしまう、こんなに夢中になって仕事するのを毎日続けていたらほかのすべてが破綻するだろうとありありと想像できる。気力がないからサボるのではなくて、没頭しすぎることへの警戒からサボれる程度の職にありつくのだというのが『会社員の哲学』のもう一面なのだ。それではいまこうして本を作るのにのめりこんでいる楽しさはどうする? ほどほどにしておけ、というようなことは、まだ本には書いていない。これでもう一冊書けそうな気もする。
あれこれ終えて階下に下りる。人間また始めたのでトイレに行ってきますと奥さんに声をかけるとルドンだってトイレくらい行くという。たしかに。辞めていたのはむしろ動物のほうで、あまりに人間的であったのかもしれない。そうなのだ。人間を辞めれないことの方がたいへんなことなのだ。
