2026.07.11

午前中に原稿を二本終わらせて、午後は業務スーパーに買い出しに出かける。冷凍チュロスが甘くなさそうで、期待して買ってみる。業務スーパーに日髙じゃない昆布はない。録音も済ませちゃおうと思うが、奥さんの体調がすぐれずいちど中断。すこしの昼寝をはさんでやり直す。短めにするつもりがなんだかんだでいつも通り。なぜかシュタゲの悪口が捗り、高橋源一郎のラジオの話はちょっとしかできなかったけれど、最終的に奥さんへの信仰告白のようになった。

寝る前、この前の文フリ東京の傍らで行った原っぱ社交で丹渡さんに教えてもらって買おうと思っていたのに買いそびれていた『mimetica vol.2』から無料公開された桜田優大「小説的思考と証言――町屋良平『ほんのこども』論」を読みだして、あまりに面白くて眠れなくなってしまった。夜更けまでかけて読む。僕が「随筆時評」で一貫して演技的に書こうとしていることは、ここまで精緻な論述として書けてしまうのだなあと舌を巻くし、参照されるすべての本の読解が鋭く気が利いている。僕もこういうのを書けたらよかったが能力が欠けている。それでもやらなきゃいけないかもと頑張ってみようかと思いかけていたけれど、こういうものがもう世に出てきているとわかってしまえば、やっぱり僕はこういうのをやろうとしなくていいなと素直に思う。だいぶ肩の荷が降りる。僕は気張らずラフにやろうと思え、原稿を身の丈にあったものへとデチューンする方向で再構成することを決める。すごいいいものを読むと元気が出る。いっそ時評を代わってほしい。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。