2026.08.01

九時から特別ポッドキャストの収録を鮫君とあべさんと行う。寝起きで頭がまわっていなかったが鮫君の見事な回しでかなりいいものが録音できたのではないかと思う。この数日の話題でずいぶんとへこたれており、来週のイベントへの気持ちが重たくなっていたのだけれど、楽しみになってくる。ヘヴィになってもいいから、大事な話を真剣にしよう。

移動中、『中村拓哉のひとりりある』の「第十四回 とりまダルかった平成十年代的ホモソーシャル」を聴きかえす。ここで中村のいう「平成10年代的ダルさ」、とりあえず「めんどくせー」と言っておくノリは、ある種シャーク鮫君のいう「60点」への同調圧力であったし、その側面を強調して「冷笑」へとベタっと読み替えられていった気がするけれど、僕もこの「ダルさ」の肯定的な可能性をやはり捨てきれていない。全力であれ、という、全力への疎外に抗うことと、鮫くんの言う全力からの疎外とを区別して考えるべきだろう。

ダルがる半分を保持する。中村が参照するIWGPのマコトは「めんどくせぇ」といいつつちゃんと巻き込まれにいって世話を焼く。この、ダルがりと親切のバランス。半身であってもそれはもう半身を別のリソースに割くためのものである、みたいな「マジさ」の過剰に対して、いやいやダルいって、と言う。そのうえで、ちゃんとマジじゃなきゃいけないときは文句をたれながらもしっかり全力で参与する。

渋谷に着いて、あべさんと合流、鮫君も来る。奥さんに、朝からおしゃべりしてたけど、その人たちこれから会うんだよね?と呆れられた。ちゃんべさんも来る。みんなで神泉まで歩いて、三人がほかのお友達たちと行っていて楽しそうだったR for Dに連れてってもらう。サンプルセール初日で、たぶんみんなが行った日とはずいぶん雰囲気も違うだろう。HANABIのスタッフがしれっと現地にいて笑い合ったりしていて、いい感じ。置いてある服はどれも格好よくて、だぼっと着れるシャツ二枚と、タグがないから詳細はわかんないけどずいぶん格好いいズボンとを買う。どれも六千円だった。ズボンは元値から九割引で、いい買い物をした。あべさんと鮫君はあれこれ試着して、これは似合いそう、これはシルエットがめちゃいい、と遊びつつ、しっかり理性を保って買わずに済ませていて、ひとりでさっさと試着して、わあ、となって買ってしまうような迂闊者は僕だけだったので可笑しかった。こういうところでノリの異質さが露わになる。それから近場のカフェで涼み、タクシーで中目黒へ。あべさん御用達の古着屋を何件も回りつつ、サッと見て、ビッときたら触ってみて、着て確かめて、吟味のうえ違ったらさらっと戻す。この買い物のリズム。見て学ぶ。僕はとりあえずで買いがち。安請け合いは体重が乗らないからなんか説得力に欠ける。商店街では阿波踊りとよさこいの披露がはじまりそうな気配。軒先でお酒や揚げ物を売り出していてうきうき気分。そのまま代官山へと歩いていき、オムプリッセをみて、夕立が来て、蔦屋で雨宿り。日暮の渋谷の方へと抜けながら、立ち飲みでタップビール三杯、座るお店でたらふく食べる。鮫君はいい店をたくさん知っており、洒脱だ。こういう垢抜け感を近くで見習える男友達っていなかったなあ、と思う。イベント前に一緒に遊び、話しておけてよかった。ちゃんと怖いし、ちゃんと緊張してるし、ちゃんと楽しみだ。帰り道、しかし僕は友達のノリというものがやはり致命的にわかっていないんじゃないかということを考えていたら酔いがぐるぐる回り、危うい帰宅となった。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。