2026.08.27

『ポーカ・フェイス』はコロンボと寅さんの掛け算のような面白さで好きなドラマで、シーズン2で打ち切りとのことだから最後の二話を大事にとっておいていたのだけれど、赤毛のお節介姐さんが主人公というので共通している『モルガン 天才捜査コンサルタントの殺人事件簿』を見つけてこれでしばらく大丈夫そうだという見込みが立っていよいよ『ポーカ・フェイス』の最終二話を続けて見た——一話完結のこの作品で例外的に話を跨ぐエピソードだった——のだが、これが中盤から抱く嫌な予感が的中する最低の展開でかなりげんなりさせられたし、こりゃ愛想尽かされて打ち切りもやむなしとさっぱりした気分になれはした。しかし、展開の驚きのために一挙にうすっぺらな性格造形へと貶められ、キャラクターがプロットのための手段としてだけ扱われるさまは興醒めだし、なによりここにきて主人公の愛嬌や知性ではなく、稚拙な孤独感みたいなものをシリアス顔で唆されてもそういうのじゃなかったじゃん、これまで何やってきたんだ、寅さんだろ? いまさら『踊る大捜査線』の小泉今日子みたいながっかりはったり大苦笑もののソシオパス問答やってどうするんだよ、というやるせなさはどうにも拭いがたい。

中村大谷本を読み終えて、溝口彰子『BL進化論 [対話篇] ボーイズラブが生まれる場所』と廣野由美子『批評理論入門 ──『フランケンシュタイン』解剖講義』、ミシェル・シオン『映された声 映画にとって「声」とはなにか』を読んでいる。タイムラインは机上にオフラインで作ればいいもので、てきとうに三冊くらいマルチウィンドウのように行き来しながら散漫な注意を複数の紙面に遊ばせていると、結果的に本は読めるし、うっかり話が接続するような錯覚も得られる。木原敏江の再読も始め、『雪紅皇子』から始める。根姫のかわいらしさ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。