お尻のできものが痛み、夜中何度も覚醒する。寝た気がしない。めそめそして、これが痔か、というと、違うよ、と奥さんが言う。座り仕事がかなりしんどく、急拵えの環境で立ったまま労働したりして誤魔化す。はんぶん胡座をかくようにして足をお尻の下に潜り込ませて患部がこすれないように工夫したりするのだがどうしても姿勢がよじれるので腰も痛くなる。これが痔か、というと、違うよ、と奥さんが言う。違うのはもう知っていた。しかしお尻の内側のところにできものができるだけでこのつらさ。肛門となるとさぞつらかろう。お尻が痛いとなんにもできない。座っていられないというのはつらい。どんどん痛くなるのでどんどん精神が参る。見兼ねた奥さんがケツを出せと言い、炙った針でできものを突き刺して膿を出してくれる。洗面台に手をついてケツを出しながら、愛だな、と思う。僕も奥さんのお尻にできものができたら同じことができるだろうか。ふつうに人の体を針で貫くという行為が怖すぎて、いやだいやだ怖い怖いと大騒ぎする気がしてならない。ケツの穴が小さいという慣用表現の迫力について考える。
