2021.11.24(2-p.166)

賃労働日。在宅勤務なことをいいことに午前中に東山公園と学芸大学に向けて新刊を郵送。本は基本的に一人一冊なので、初動が良くてもずっと動くわけでもない。追加の注文をいただけるというのは本当にすごいことなのだ。未知の誰かに届く可能性をどれだけ予感してもらえるか、それは本屋さんに立つひとりひとりの力だ。僕はその予感に応えたい。何ができるかというとわからない。とにかくTwitterを頑張ってしまうが、効果あるのだろうか。

仕事のあいまにスプレッドシートを作成して、在庫と売上の管理体制を整える。そのままの勢いで増刷の注文を完了する。在庫がまた来る、と思うと張り切るらしく、どんどこ提案書をメールやDM でお送りする。画面の向こう側にいるのが抽象的な「本屋さん」のイメージでなしに、具体的な顔を伴った個人になっているので、連絡の心理的抵抗もずいぶん柔らいでいる。きのうブースに来てくれた方も、この二年でずいぶん知っている方が増えた。最初に『プルーストを読む生活』のZINE第一巻を出した時はほとんど知り合いはいなかったし、好きな本屋の店主であった松井さんに声をかけてもらえて、仕入れますよと言っていただけた時、ぱあっと目の前に景色がひらけた。それから一軒一軒の書店に提案をするときも毎回どきどきとした。あのころのうぶさはないというか、ひとつひとつの深刻さは量が増えるに従って相対的に軽くなるけれど、それでも一冊一冊売れるごとにやっぱりとても驚くし喜ぶ。文フリで売れてそうな人を見ると身内の内側だけでなかよしこよしで循環させちゃってさ、とクサクサした気持ちがあったが、あれは好き嫌いとかではなくだいぶ嫉妬だったな、と思う。今の僕がいけすかない人もたくさんいるだろう。

Twitterのフォロワーがもうすぐ四桁にいきそうなことに気がついてしまって、やきもきするのがいやなので1000人目のキリ番は自分で踏んだ。ポイエティークRADIO のアカウントで柿内正午をフォローした。これで安楽。もうこのくらいでいい。この千人がみんな本を買ってくれたら十分。

退勤して、さっそくいただいた発注メールにお返事しつつ納品計画を練る。ポッドキャストの録音を行う。夜はきのうの打ち上げで軽くしゅわしゅわしたものを飲む。帰り道に確認すると本屋lighthouse の通販分が「SOLD OUT」になっていて、もしかして人気作家なのでは? と調子に乗った。

でも本当は買ったことや読んだことをツイートやブログで報告してくれる、そのひとつひとつの言葉にとても励まされている。今回は不安のほうが大きい。確信がない。だからこそ感想が聴きたくて仕方がない。人気はいらないから、感想が欲しい!

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。