2020.12.26(1-p.365)

きょうは片道二時間くらいかけて宇都宮に出掛けた。途中東武動物公園を通過して、それは『ハイキュー!!』とコラボ会場だった。すこし惹かれる。しかしポスターを見るたび山口いないのにツッキーが動物園行くわけねえだろ、という気持ちになる。いやしかし、どうだろう、東武動物公園って恐竜いたっけ、などと考えているうちに、というのは嘘で、『だえん問答』を読んで、ジャッキー・チェンの話を奥さんにしているうちに宇都宮に着く。とにかくお腹が空いたので駅ビルで餃子を食べる。おいしかった。

東口店というのだから東口にあるのだろうと東口を出てすぐ、ラブホみたいな案内書きがあって、しかし文面をどう読んでもそれはただの駐車場だった。ただの駐車場の時間単位の料金表は、しかしたいそうなキャッスル感で、ついつい存在しない「休憩」の文字を幻視してしまう。きっと元はラブホの駐車場だったものを、ラブホなき今も駐車場として活躍させているのだろう、隣のこのマンションは元はラブホのあったところに建てられたのだ、などと好き勝手に喋っていたらTSUTAYA の看板がすぐに見つかる。うさぎや宇都宮駅東口店。熊本や秋田の国道沿いの書店を思い出す。車も自転車もいっぱい停まっている。この町に、必要とされている場所なのだ。道路を挟んで斜向かいは釣り具店で、馴染み深い地方のロードサイドだった。建物の前面は宇都宮のバスケットボールチームのラッピングがなされていて、奥さんは、あ、イガラシはいまは宇都宮なんだ、と言った。誰、と訊くと、日本人で初めてNBA に行った人、しかも背が高くない、日向翔陽みたいな人、とのこと。中に入ると、地元のらくだ書店なんかを想起させる雰囲気。わっと検索機に飛びつく。TSUTAYA の検索機で自分の書いた本が探せることに興奮する。レジ前の新刊台はさすがの品揃えで、そこに『プルーストを読む生活』も置いていただいていた。すぐそばに『読書の日記』シリーズがあって、嬉しくなる。今朝のメルマガもしんどいけれどよかった。しんどい日々のなかで一つの息抜きとして名指されたことにうわあっとなったのもあって、余計にこの並びは嬉しかった。fuzkue がなければ、この本のこともありえなかったかもしれない。レジは常時二人体制で、会計待ちの列は途切れなかった。品出しをされているもうひとりも絶え間なく動き続け、電話が鳴るとそれも取るので、どなたにお声がけしていいかもわからず、しかしこれだけ活気があって、しかも独自性というか、端的に出版社との直取引の手間も惜しまないような品揃えをも実現しているというのは、なんともすごいことだなあ! と感心する。新刊台のすぐそばの柱ではなぜかいま「MOTHER」が特集されていて、「MOTHER」のアンソロジー本があった。絶対面白くはないだろうなと思いつつも、寄稿者にトビー・フォックスとあったからそれだけのためにでも買っていい、と思い手に取る。岩波のコーナーでついに『サラムボー』も見つける。奥さんは、あっちに双子のライオン堂コーナーがあるよ、と教えてくれた一角にはたしかに『しししし』が揃っていて、その下は夏葉社の既刊がしっかり揃えられていた。すぐ向かいのラックがピンクピンクした雑誌コーナーで、それでも無理なくちゃんと同居している感じがあるのはすごいいいなあと思う。レジで会計をしてもらって、後ろに列もあったのでへどもどと写真を撮っていいかお伺いし、いいとのことでさくっと二枚くらい撮って、満足して奥さんに声がけをする。奥さんは餃子で胃もたれしたようですこし具合が悪そうで、それで少し慌て気味に終えたが、当の奥さんはまだ棚を見ていたようで、僕が急かすような形になってしまったのが釈然としない。

帰り道、奥さんは、さっき間違えた、と言った。イガラシじゃなくて、タブセだった。さっきの日向はね、田臥だった。なんかあの手の顔が私の中ではsyrup16g の五十嵐と同じ箱に入ってて、それで間違えた。

   

帰宅して、ごちそうだった。ケーキまでたらふく食べた。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。