2024.01.26

『バーナード壌曰く。』の最新刊を昨晩から嬉しく読んでいて、好きな話は奥さんにも読んでもらう。一話が短いからさらっと共有できて、これが面白かったよというのを教えて面白がってもらえる嬉しさをすぐに得られるのもこの漫画のいいところ。人と本の面白さを分かち合いたくなる漫画だからこそ、このお裾分けしやすさは大事だ。一巻から読み返す。はじめは名言漫画として始まっていたのだよなと思いだす。遠藤君が『恋空』で号泣しているのが2013年だから少なくとももう十年以上続いている。初出はもっと前かもしれない。今回は遠藤君になにか既視感があって、これは『正反対な君と僕』の平くんだ。遠藤君が最新刊では二次創作を書き始めて、おお、となったけれど、さわ子は二巻の時点でポメラでなんか書こうとしてた。二巻のカバーそでには一巻で完結のつもりだったともあって、長く続いてよかったなと思う。初期は意地悪なマウント意識や暴力的なツッコミも多く、埋め草のコラムにすこしギョッとしたりする箇所もあったりして、実はそこまで面白くない。四巻くらいになって、さわ子がすっかり読書家になって、図書館の四人が仲よくなってからの方がずっと面白い。とはいえ最初の方で言及される本の熱量も侮り難くて、グレッグ・イーガンが読みたくなってきた。そういえば僕はこれを読んで『ディアスポラ』を読んだのだった。今度は『万物理論』を読んでみたい。

セーターが臭い臭い言われるので押し洗いした。セーターは洗い方を知らなくてできれば洗わずに冬を越したかったのだがそうはいかなかった。縮んだり伸びたりしないだろうかと不安になり、うまく干せなくて辟易とした。ずいぶんくたびれた。お昼は親子丼。あらかじめ塩麹に漬けておいてくれていた鶏肉だから出汁と醤油と味醂でシンプルに作ればわりと高級な味になる。

郵便局に発送に出るついでに図書館で借りた『ロギング仕事術』を読んで、ログを取ったら30分くらいで読了していた。これは『バーナード壌曰く。』の一巻分と同じくらいの所要時間だ。そのあと30分『すごい哲学』を読んで、あとはアレナスを久しぶりにちょこっと読む。時評は奥さんに読んでもらってよさそうなので明日見直したら週末のうちに納品してしまおう。時間単位でログを取るのはよさそうだが、この日記を書く時間も記録しておくと予定を立てやすそうだった。きょうは忘れた。夜はふたたび鶏で照り焼きとキャベツの味噌汁をつくって、奥さんが仕込んでくれたあん肝ポン酢といっしょにいただく。食後は『ダンジョン飯』のアニメを見て、このアニメかなり好きだなあと思う。ナーロッパ的ファンタジーの舞台設定であること、ごはんの話であること、そのどちらにも必然性が設けられていてよい。複雑な歴史や分断があっても、とにかく腹が減る。あるいは、一緒に食卓は囲めても、それで全てのわだかまりが解けるわけではないということ。個人と集団の違いへの冷徹な判断と、個々の交流の素朴な楽観とが無理なく同居していて、これは今後の展開次第では大好きになってしまいそう。ポイントの執行期限が迫っていたので『ヴァチカンのエクソシスト』をレンタルして観る。これもちょうどよく面白かった。ジョン・モクスリーをみるたびに、ふたりはラッセル・クロウを思い出していたから、それで観たのかもしれない。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。