鏡をみると白髪がまた目立つ。つねに混じるようになってきているのだろうが、おろしている前髪に二本や三本混じると一気に老け込んだ印象になる。顔の正面だからそうなのか、自分には見えていないだけで側面や後ろのほうこそ白くなっていて傍から見たら結構な量なのかもしれない。若白髪は禿げないという噂が高校くらいまではまことしやかに語られていたことを思い出す。もう若くはないから参考にはならない話だ。帰宅して、くたくたで、奥さんに髪を搔き分けて白いのを探し出して切ってもらう。毛繕い、と思う。髪の毛をいじられて剪定されている時間は、猿のコミュニケーションのような根源的なくつろぎがある。疲れのあまり、食後すぐに眠ってしまい、薬と歯磨きのために日付の変わるころいちど起き出したが、そのあとはまたいくらでも寝ることができる。