だいたい17,000字強で落ち着いてきた2.5次元論を余白を多めに取って印刷し、繰り返し読み、つっかえる部分を手書きで赤を入れていく。推敲というのはまじでやばい。お風呂のカビ取りと同じで、完璧をめざせば無限にやれてしまう。わざわざエプロンを外して黒ずみを探し出したり、もはや取り返しのつかない細かな傷がどうしても気になりだす。あまり耽溺してしまうと気がつけば風呂桶じたいを除去しかねない。それほど助詞や語の配置を直すだけでぐっとよくなる快楽はでかい。ディスプレイ上でいくら読んでもこのような愉悦はなくて、紙に刷り出してペンでがしがし書き込んでいくということで得られる感触がある。これはWordPress でホームページをつくるだとか、なにかしらのシステムを手弁当で構築するときと似たような時間感覚に陥り、数時間があっという間に過ぎる。できればずっとこうしていたい。今回は奥さんとの共同執筆という形をとっている──とはいえあくまで主はこちらである──というのもあるし、勝手にいくらかのファンの代弁をするような気負いもあるのか、かなり疲れる。ここまで疲れる書きものはこれまでなかった気さえする。前々から考えていたことをなるべくしっかり言葉にするというのはたいへんなことだ。作業後には本を読む気力もなく、ゲームかアニメで脳を休ませる。