『重力の虹』の息抜きに『コンヴァージェンス・カルチャー』。コンヴァージェンス・カルチャーの事例で引かれている『マトリックス』が観たくなって、途中からは『重力の虹』の息抜きに『コンヴァージェンス・カルチャー』を読みながら『マトリックス』の二作目と三作目を観るという感じで、もはや息抜きの情報量ではないが、そうこうしながらピンチョンって要はエヴァとかマトリックスみたいなことか、ひとりコンヴァージェンスだな、と安易なわかった気持ちがやってくる。『マトリックス』は一作目ばかり見返して、二作目三作目はモニカ・ベルッチのおっぱいの丸さ以外記憶から消していたけれど、いま見ると悪くない。というかけっこう面白くて、こちらのリテラシーが上がっているというか、公開が2003年だから僕は中学生とかで、それはそうだろうという感じもする。『コンヴァージェンス・カルチャー』でも書かれているし、当時の評なんかもそんなんばっかだったけれど、突然出てくるキャラクターの多さや説明不足なんかも、べつに映画以外の作品に補ってもらうことを前提としているというほどでもなく、ふつうに観ていればちゃんと伝わる程度のものだし、映画だけでもまとまってはいる。しかしそれはそれこそ僕がこの一年FGO というさまざまなハードに分散したコンテンツを追いかけるというやり方にようやく慣れ親しみ出したからかもしれない。よくわからないキャラクターの背景をてきとうに補ったりする力はついた。つまり、ピンチョンの準備はできていたということだ。
奥さんは仕事が忙しそうで、しかも夜もあまり寝れていないようで、しょぼしょぼしていた。僕がピンチョンしているあいだに何度か構ってもらいにきたらしいのだけど、僕は気がつかなかった。あとで、重力の虹の彼方に行ってたからね、わたしは透明になっちゃったんだね、あーあー『オーバー・ザ・グラヴィティズ・レインボー』! と新しいスタンドを発明していじけた。そのまましょぼしょぼと布団に横たわり、きょうはもう眠いらしいのでそっと電気を消すと、日記は? もう今日の楽しみなんて日記くらいしかないのに、なんで書かないで寝ようとしてるの? ねえ日記は? と目にあずきの温めるやつを載せたまま天井に向かって繰り返すので、せめて一日の終わりに楽しいものを読ませてあげたいと思う。
書きながらサマーキャンプを周回。交換所でアビーちゃんが歌っているのを聴くと、奥さんは、アビーちゃんはかあいいねえ、私に足りてなかったのは可愛い女の子だったかもしれないねえ、と目を潤ませて何度も何度もアビーちゃんに話しかけた。明日はちょっとは元気になっているといいね。