2021.05.31(2-p.53)

昨晩から始めた『A子さんの恋人』を読み終える。いい漫画だった。性根の曲がった口の悪い人たちと楽しくおしゃべりがしたくなる。とか言いつつ、ヒロくんの役割の大きさをいちばんに考えている時点で、もう僕はこの人たちの過ごした時期を終えてしまっているのかもしれないな、と思う。いちばん無自覚に持っているのがヒロくん成分で、いちばん自覚的に持っているのがゆうこ成分で、次点けいことあいこ、それからA太郎。A子とA君もちょっとはある。つまり全員どこか自分を重ねることができるし、どこか親しい誰かに重ねることができる。かといってどの人物も現実離れしたデフォルメというわけでもなく、ちゃんといる感じがする。その造形の巧さ。そしてストーリーテリングの端正さに、わわわー、となった。いいものを読んだ。さすがみんながいいと言っていただけある。お酒を飲みながら人と話したくなる漫画だから、無責任な他人の恋バナのように性格の悪い人たちと盛り上がりたい。ああ、美味しいご飯を食べながら、人の悪口を言い合いたいなあ。

それから集中力が続く限りピンチョン。大体一日に100ページが目安になってきている。

作業のお供に『ナイト・オン・ザ・プラネット』。原題だと『Night on Earth』。ガムを噛みながら煙草を吸い続けるウィノナ・ライダーが最高で、そのあとはてきとうに流し見ていた。トム・ウェイツの音楽がよくて、退勤後の散歩にはサントラを聴いていた。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。