2021.06.24(2-p.53)

やや二日酔い気味でも頑張って早起きして六本木へ。念願のヒロアカ展。奥さんと平日に休みを合わせてチケットが取れた。とはいえなんの展示なのかよくわかっていない。アニメの原画とか?と話していたがどうやら漫画の生原稿らしい。あの絵はアナログだったのか! というのだと、ディック・ブルーナに匹敵する驚き。時間制チケットのくせに導線設計がイケてなくて待ちのタイミングや時間が多いことにややうんざりするも、内容はとてもよかった。生原稿ってこんもりとした修正液や迷い線を観にいくものだけれど、堀越先生の絵にはほとんど修正がなくて、印刷とほとんど印象が変わらないという意味ではヒグチユウコの絵とも通じるところがある。しかしこのクオリティをこの綺麗さで仕上げられてしまう、しかも週刊連載で、というそのことに改めてうっへえ、と声が出る。最近は版元の方針もあってデジタルに移行してるらしいけれど、元の絵がデジタルに移行しやすいというかアナログでやり切るには工数が多すぎるような描き方だからか、移行による差異がこちらにはよくわからないのもすごい。絵を描くのが楽しくてたまらない、といった感じで、作画の息抜きに絵を描くアニメーターや漫画家のツイートを楽しく見たりもしているが、とにかく楽しくてたまらない、という単純な喜びがもたらすものの豊かさを思う。そうやって息抜きにまで同じようなことをしてしまうような屈託のない欲望、と話をしていると、あなたも本読む息抜きに本読んでるもんね、と言われて確かにと思う。作り続けるのこそ息切れするが、読むことに関しては僕はずっとやれるだろう。

虎ノ門に移動してこちらも念願のエリックサウス。ここ半年油断するとカレーばかり作る奥さんはここの稲田さんという人に私淑していると言っていい。移動中に攻略法について書かれたブログを読み込み、とにかくこのパパドというのを避難させなくてはいけないのだということだけは分かった。だいたい教えられた通りに食べたそれは非常に美味しくて、何度も味が変わり、最後はさわやかに終わるところとか、ははーん要はこれはひつまぶしだねと二人で納得した顔をする。満足。

昨晩遊び呆けたから余裕を持って帰宅。すぐに昼寝。もう夜。ゾンビランドサガを見届けなくては。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。