2021.10.04(2-p.166)

気分転換の散歩で本屋に向かい、藤本タツキの初期短編集とヒロアカの最新刊を買う。歩きながらタツキの若書きを読む。図書館で本を交換する。二本目の短編まで読み終える。危ないので真似をしないように。スーパーで買い物も済ます。小一時間の散歩の最中昨夜うまく眠れなかった奥さんは仮眠をとっていた。

ヒロアカを読む。こういう言い方はアレなのだが、ナガンさんが“ぶっ刺さった”。キャラ造形もさることながら、ナラティブの良さよ。管理社会の秩序維持装置としてのヒーローと、その主権暴力を暴露するヴィランという構図はアメコミヒーローものの常道ではある。あるのだが、ちょうど『会社員の哲学』の執筆や『セックス・エデュケーション』を思い返しながら、治安や衛生による管理や支配の正当化の妥当性みたいなことを考えていたのもあって、なにより僕らにはもうホークスがいる。清濁併せ呑むという言葉でさえ生ぬるい、非常に難しい道を往こうとしている。自分を白の側と疑わず白黒つけようとする単純なヒーロー像でなく、黒も含まれてしまうことを自覚しながらなおなるべく白を目指すという、単純なグレーですらなくグラデーションの塩梅を意思するヒーロー像が提示されていくナガン戦に、僕はほんとこの漫画が大好きというか、国内で最も信頼できるプロダクトであるな、と嬉しくなる。

その勢いで『3月のライオン』だ。発売日に買っておきながらちゃんとしたくて封も開けていなかった。これまでの筋の回顧も兼ねて13巻から読み直す。15巻でボッロボロに泣いて、そうだ、これだから気楽に読めないのだ、当時はブンちゃんの姿を見るたびに嗚咽を上げていたからたいへんだったが、本編だけに集中してもこの様だ。すすり泣く声は聞こえてはいたのだけど、とのちに気まずそうに教えてくれた奥さんに話しかけられたとき僕の目は真っ赤だったろう。そのまま16巻を読み、パズルのおまけ付きにして良かったな、と思い、こちらも選択を迫られた時、安易に二者択一の問いに付き合わず、両方を取りに行くというあり方が、びっくりするほど夢見たいな多幸感で描かれていた。いちばん難しい、不可能に近いように思い込まされている道を果敢に往くこと。その勇気に何度だって打たれる。本気で何かに取り組む姿の美しさを浴びる。僕はなにかに本気になれているだろうか。葬儀屋さんの気持ちになる。

感情を立て続けに揺さぶられたので具合が悪くなって一時間ほど寝込む。

起き出してちょこちょこと作業を進める。

夕食を作りながら流していたナディアは、残りの話数も残りわずか、と言いながらほとんど全編これまでの素材を使い回したキャラソンカラオケ大会で、笑えた。その次の話で怒涛の説明台詞とシリアス展開でその落差もまたすごい。最後の三話はすごいらしい。ここまでに節約した労力が全投入されているというから楽しみだった。

お風呂、今日は千円の竹パンツ。たしかに昨日のような感動はない。なんというか、悪くはないが良いというほどでもない感じ。なるほど、竹。確かになったことがある。ユニクロのパンツは今すぐみんな捨ててしまいたい。

「おすすめ音楽紹介」というTwitterアカウントの投稿で知ったBrendan Eder Ensemble 「Cape Cod Cottage」を聴きながら日記。気持ちのいい音楽だ。日中は午後の作ってくれたポイエティークRADIO のテーマばかり聴いている。そういえば曲名がない。今度話すときに決めよう。

明日は日中に駿河屋でポチった『Fate/EXTELLA Celebration BOX』が届く予定だし、夜も楽しみなおしゃべりの約束がある。明後日にはエリちゃん祭りもある。短期的な楽しみが詰まっているの、とても嬉しい。ハム太郎の飼い主のような気持ちになる。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。