2023.07.15

うんち出た!

発熱からの二日間ずっと便秘で、僕は便秘など発生からほとんど体験してこなかったので──下痢はある──たいへんつらくて、これが出たらもうすべてが恢復に向かうのだと思い込んでいたから、昨晩もお腹を温めたり最善を尽くしたのだ。けさご飯を食べて、これももりもり食べれて、トイレに行くと出たので嬉しかった。鼻をかみすぎると耳にくるので鼻うがいをする。何度やっても同じ穴からダバダバ出る。すっきりはする。

便秘から解放された嬉しさで前の段落までを書いた午前中から一転、午後は39度まで上がった。たしかに誰かが約束してくれたわけじゃない。うんちが出たらもう大丈夫だよって。でも、なんとなく期待してしまっていた。がっかりだよ。こんなのってないよ。めそめそした気持ちで苦しかった。平熱が低いからだろうか。38度台を超えるともう立ち上がれない。水を飲んでもすぐに出て行ってしまうようだった。トイレに立つたび、奥さんが買ってきてくれた一口サイズのチョコのアイスを二、三個口に放り込んだ。冷たくて甘くて助かった。すぐ剥がれてしまうで有名な冷えピタだが奥さんがテーピングを施してくれて、すると寝て起きてもまだピタッとくっついていた!

ロキソニンはすごくて、服むとかなり動けるようになる。本を読むとすぐに疲れる。読書というのは肉体を酷使しているのだなとわかる。頭はぼーっとしているので、なんか気楽に読めそうなものをと思ってきのうから『その謎を解いてはいけない』をちびちび読んでいた。京極夏彦からメフィスト賞系のミステリをちょこちょこと読んでいた中高生の頃のことを思い出す。このノリは懐かしい。僕はこういうどうでもいい饒舌が面白くて読んでいたし、だからトリックも犯人もだいたい何も覚えていない。探偵役のまわりでいろんな役者がわちゃわちゃしてる、その雰囲気を楽しんでいた。キャラクターは記号的だからこそよかった。かれらは毅然として読者に消費されていた。僕はミステリのまじめな読者とはいえないし、ミステリは『ゴッドタン』とかそのあたりとおなじカテゴリに入っているくらいだが、それはこの本との相性が悪くないことを意味しているのかもしれない。読んでいると、当時は確かにイタ格好よかったものが、いまではイタいだけなのだよな、と切なくなる。ではいま格好いいものとは一体どんなものなのだろうかと考えてみると、どうにもよくわからない。いまでもこれは格好いいのかもしれない。右眼が疼く。熱のせいだろう。本を閉じて寝たほうがいい。

食欲はずっとあった。和え麺、キクラゲとパクチーのマリネ、パクチーレバー、パセリのサラダ、ツナマヨと韓国海苔ふりかけをまぶしたごはん、餃子などを食べた。アイスもずっと食べたい。食べれるのでうれしい。あとはトップスのチョコレートケーキと、成城石井のティラミスと、ミスドのオールドファッションが食べたい。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。