2021.02.09(2-p.16)

すごいことを知ってしまったので教えてあげます。人は、大きく出るが人は、足の裏を冷やすのはよくない! 僕はきのうから「まぐろ漁船の靴下」という名前からしてあったかそうな靴下を履いていて、ざっくり編まれているから暖かでありながら蒸れないし、柔らかくて締め付けもない。僕は靴下が嫌いで帰宅してまずするのは最愛の人にただいまと言うことでも、手を洗うことでもなく、靴下を脱ぎ捨てることなのだけど、僕の靴下嫌いを要素に分解していくと「締め付け」および「蒸れる」──なんど打鍵しても「群れる」が最初に出る。たしかに群れるのも好きではないが──ということで、「暖かい」というのはむしろかなり好きだと気がついた。僕は自律神経が弱く手足の発汗がすごいのが多感な年頃の頃はコンプレックスだったしいまも不便してるのだけど、特に靴下がすぐにビチャビチャになるのが最悪だ。でも足裏の通気性がちゃんとあればこんなにも快適だし、僕は手足が冷え性ですぐに氷のようになるのだけど、きょうはいちにち足の裏があったかい。足の裏があったかいと肩こりや頭痛も和らぐ感じがすると言うか、全身の冷えが緩和される感じもする。頭寒足熱というが、頭寒足熱ということだった。足の冷えは全身の冷え。そういうのはよくないからみんな冬場は靴下を履いた方がいいです。知っていましたか? いかがでしたか?

──僕はどう足掻いてもアフィリエイトで稼ぐみたいなことはできないだろう、と商品レビュワーブログみたいなことを書こうと試してみて思い知ったが、それはともかく、これを書いているのを覗き込んできた奥さんが、それあなたと暮らし始めてからこの五年で二〇〇回は言ってきたことだよね、と呆れた。奥さんは知っている側の人間だったということだ。

なぜ奥さんが書いている途中の日記を覗き込むなんてことをしてくるかというと、僕のことが心配だからで、僕は先ほど洗濯物を取り込んで畳んで、衣装ケースに片づけて、また洗濯物を取ろうと屈んだところで、コッ!!! と背中が鳴って動けなくなったのだ。その音は奥さんにもはっきりと聞こえた。『ヘレディタリー』のあのコッ!!! くらいの存在感があったと言っていい。それで僕はいま、布団にしゃがみこんで、どうやら肩より上に腕を上げるとやばそうなので、背中を丸めて──背中を反ると言うか、胸を張るというか、とにかく上半身をまっすぐに起こそうとすると痛いのだ──これを書いている。すごいことを知ってしまったので教えてあげます。人は、大きく出るが人は、背中に気をつけた方がいい!

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。