この数日あれこれとものが届いている。コンベクションオーブン、モバイルスピーカー、そしてプリンタ。それぞれ開梱して、セットアップして、使ってみる。なくてもなんとかなっていたけれど、あると明らかに嬉しいものたち。コンベクションオーブンはトースターとしても優秀で、久しぶりに食べた焼きたての食パンはとてもおいしかった。湯気を食べるのだ、と『自炊者になるための26週』にかぶれて考える。しかしそう考えてみるだけで明らかに味覚はひらく。おいしがりかたを覚えたのだ。あらゆる作品やパフォーマンスは面白がり方を覚えればだいたい面白がれる。小説は、じつはまだよくわかっていないのかもしれない。時評のために文芸誌を読む時期がまたやってきて、ぼんやりとそう思う。まだ創作には手を出していなくて、特集や対談をざっと見ているところ。『新潮』の山崎努と山下澄人のお喋りがよい。優れた演技者が演技について語るというのはいつだって面白い。
待ちの状態だったもののひとつに結果が出てひとまず安心する。夜は楽しい打ち合わせ。一時は40度手前まで熱の上がった奥さんもこのタイミングに合わせて鎮痛剤を飲んで臨席。しっかりと受け答えをしていた。僕は横でふんふんと聞いていた。この家の心臓、そして脳は奥さんであり、僕だけでもだいたいのことはできるのだが、ここまでうまくはいかないのだよなとしみじみ思う。早く元気になってくれないと困る。いまは鎮痛剤効果で元気そうで、シャワーも浴びれたし、すこし湯船にも浸かることができたみたい。薬ってすごい。薬の効果が切れたらまた奥さんは緑色の顔になって、ああ、とか、うう、しか言えなくなる。その前に日記を書かなければと焦る。でもお喋りもしたい。奥さんと話したいことがたくさんある。じっさいにたくさんあるかはわからないけれど話したい気持ちはいっぱいある。とにかく声をやりとりしたい。だからべらべら喋ってしまって日記が進まない。明日は妹の結婚式だ。