たっぷり寝る。
2.5次元論をDynalist で一気に最後まで書く。とにかく思いついたことをすべて書き切って、それから段落単位で並べ替えて、再び書き加え、削り、書き直す。そのようにして、ひとまず論の流れとしては固定できただろうというところまで持っていく。まだ粗すぎる部分も多いが、いまは書き上げたテンションでよくわからなくなってるだろうから、細かいところは一日寝かしてやり直す。できあがった部分からGoogle ドキュメントに移して、奥さんがそれをチェックしてうろ覚えで書き飛ばした人名や作品名を補完してくれる。さらには気になるポイントにどんどん注釈を加えていってもらう。今回はふたりで書くというのを試していて、これまでも書き途中のアイデアを話して意見をもらって直してまた話してということはしていたから、とうとう直接的に文に関与してもらうという試みだ。奥さんが資料を集めたりエビデンスを検証しているあいだに見つけた須川亜紀子『2.5次元文化論』が気になったのでKindleで早速買ってざっと目を通すといま作っている原稿とほとんど同じ構成をとっていて、さらには定性定量の両面からしっかり研究されている良書で、これを先に読んでいたらこれがあるからもういいやとなっていたなと思う。書いてしまったものは仕方がないし、自分たちならではの書きっぷりには仕上がるはずだ。研究としてしっかりしたものがすでにあるというのは、一観客としての私見を自由に述べる余地が拡張されているということでもある。きちんと書き上げたらちゃんと精読しよう。奥さんの書いた注釈に触発されて僕も註を書き足していく。そのようにして想定の倍くらいの文字数に決着しそうだった。文字数と納期の目安をメールしておく。その勢いで録音も済ませてしまう。
すっかり夕食の時間で、ありもので麻婆豆腐と味噌汁をつくる。頭を休憩させようと何気なく再生を始めた『バッドガイズ』がちょうどよく楽しく、たまたま放送されていたのをつい最後まで見届けてしまったみたいな感じで観ることができてよかった。
シャワーを浴びる頃には奥さんはくたくたで、髪を洗ってあげる。人の髪を洗うのはかなり大変で、美容院の人はすごいと思う。文字たくさん書いたから疲れちゃった、あなたは毎日こんなことしてるの……? と重たそうな瞼を押し上げて問いかけてくるので、そうか、文字書くのって疲れるんだ、と思う。僕は奥さんと一緒に書けて楽しかった。明日もまた遊ぼうねと思っていたのに、無理なのかもしれない。松本大洋が描いた、壊れない玩具が欲しいんだ、と強い対戦相手を夢見るボクサーの悲哀を実感した。一緒にもっと書こうよ。まだまだ書けるよ。ほら。