2021.02.27(2-p.16)

お昼を食べに外に出たのだけど、ちょうど『CCC』が最終戦に向けてテンションを上げているところで、家を出てもうわの空だった。お肉が鉄板で焼かれているのを見ていてようやく我に返る。隣で奥さんは空腹でぐったりしてきた。こうなるまで一生懸命話題を振ってくれたりしていたのに、僕はSE.RA.PH のことばかり考えていて申し訳なかった。お肉は美味しくて、赤身を求めていたようだった。ふたりして顔が真っ赤になるくらい血行が促進されて、僕はようやく奥さんと目を合わせてにこにこ喋ることができた。お肉はいい。帰りに本屋に寄って『よつばと!』の新刊を買う。

帰って、復習しなきゃ、と14巻を読み出すと面白くて止まらなくなってしまった。それから『CCC』を終わらせて、万全の体制で15巻を読み出す。ずっと笑い声を上げていて、奥さんは、そんなに? と言う目で見てくる。奥さんがトイレにたったタイミングで最後のエピソードを読み終える。だばだば涙を流していて、自分でもびっくりする。え、これは、なんだ、あれ? と思うも止まらず、久しぶりに思い切り泣いていた。奥さんは戻ってきてそのままキッチンに入ったから、僕は花粉症がぶり返してぐじゅぐじゅしてる、と思ったろうか。たぶんなにも気づいていなかったろう。小学生高学年か中学生のはじめのころ、友達のエス君が漫画が好きで、『清村くんと杉小路くんと』とか『君と僕。』とかいろんな漫画を──今思うとガンガンばかりだ、たぶんハガレンもこいつからだろう──教えてもらったそのエス君に借りてゲラゲラ笑っていたのが『よつばと!』の始めで、それから15年とかが平気で経って、いまこの漫画でこんなふうになるとは思ってもみなかった。というか過去の目線を仮構していまの自分の状態を予想外だとか言うのはばかげていて、過去の自分からしてみれば今の自分なんかどうだっていい。年々とくに子供が辛い目にあう話が無理になってくるし、もう僕にとっては高校生までは当然に子供だからだいたいのアニメは厳しいものがある。だからこそ『ゆるキャン△』が沁みるし、『よつばと!』は人類の宝だと思う。

『藤田省三セレクション』を少し読んで、奥さんと録音。奥さんが作ったサグパニールはとてもおいしかった。サグパニールって初めて聞いた。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員。プルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、「家」の別のやり方を模索するZINE『ZINE アカミミ』などを制作。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。