ちょっと本格的に気分が塞いできたので、とりあえず家を出ようと昼休みに奥さんと散歩をして、薬局にアルフォートを買いに行くという口実だったが、昼ごはんもテイクアウトしようかと相談するうちに、家にいたくないのかもしれない、外でご飯が食べたいのかも、と気がつき、寿司と蕎麦のお店に入った。前に来た時はあまりいい印象ではなかったが、店内も広く、味も悪くない。前の印象はなんだったんだろう、見直した、と言い合ったが、じつは今回三回目で、二回目のときも同じように見直したのだが一回目のなんだかよくない印象がいちばん強くて、結局はあんまりいい印象でなかったことだけが残った。今回はちゃんと上書きしようと話す。店内には噴水と池があって、鯉が悠々と泳いでいる。二人の席からその鯉の合間を縫って見慣れたフォームで泳ぐ影が見えた。あれはもしや、と二人で身を乗り出して確認するとやはりミシシッピアカミミガメだった。トーニョよりも大きくて、でもあれはオスみたいだから、トーニョはもっと大きくなるね。
寿司と鴨南蛮のセットがやってきて、食べながら最近の不調の原因についてぽつぽつ話す。もしかしたら燃え尽き症候群かも。それが春と重なっちゃったのかも、と言い、単著が出て文芸誌に載って、と気ぜわしかったのがスコンと抜けて宙ぶらりんになった。いまは抱えている締め切りもないし、本の売り出しも一段落している。それで、ようやく昨年からの本を巡るわくわくが落ち着いて、いま、燃え尽きたのかもしれない。最近はエゴサしてもあんまり引っかからないし、そろそろ一回ルーティンから外すべきだろう。それよりも問題は体力の低下で、運動をするべきだった。奥さんは毎朝フィットボクシングをやってえらい。僕もリングフィットを再開しないといけない。体を大きくするために一日五食生活に戻すかあ、などと口にはするが、さいきん胃腸も弱っているしできるかどうかはわからない。
そんなふうにだいぶ調子が悪いなか、週末にかけて人と話す約束が立て込んでいたり、賃労働の現場が忙しなかったり、普段だったらそれが悪いストレスになりそうなものが今はありがたい。この状態で用事もなかったら、あっという間にわやになってしまいそうだった。奥さんも色々と助けてくれるけれど、無気力を脱するには自分で動いていないとどうしようもないので、甘えてばかりいてはどんどん悪化しそうだった。それがわかっていても動けないから辛いのだが、用事があればやるしかないので当面は動ける。そのあいだに上向いていけばありがたい。
