『ハックルベリー・フィンの冒けん』の進行に合わせて『ジェイムズ』を読み進め、合間に『黒人音楽史』をはさみつつ、パーラメントやM.Lamarなんかをスピーカで流していたら、パーラメントのころは機嫌よく一緒に鳴いたり、海老天じゃらしで遊んだりくつろいでいた猫が、アルバート・アイラーになったところでいきなり香箱座りにイカ耳でノリが悪くなったので笑ってしまう。M.Lamarはよかったんか。とにかく、アルバート・アイラーを嫌がる猫で思い出すのは保坂和志のデレク・ベイリーだ。
そしたら、土曜日が〈デレク・ベイリーを聴く会〉の週の火曜の朝、うちの猫がさかんにトイレを引っ掻き回す、そのうちにトイレの外も引っ掻き回し出した。これは危い! と思ったら膀胱炎になってしまった、私はデレク・ベイリーとかばっかりかけてたから不快な音がストレスで膀胱炎になったと思った。
保坂和志「キース・リチャーズはすごい」『地鳴き、小鳥みたいな』(講談社)p.96
猫を飼い始めたことに保坂和志の小説の影響がないとはいえないだろうが、ルドンと暮らし出してからは、むしろ猫の個体差が際立って、保坂和志の猫とうちの猫は別の猫だというか、目の前の猫がこれまで読んだ小説に出てくる猫じみてくるとかいうことはまったくなかったのだけれど、ここにきて初めて共鳴するというか、重なる部分を感じた。即興演奏は猫を苛立たせる。
気晴らしに炎天下、ラーメンを食べにわざわざ出かけていく。この前の飲みの席で教えてもらったお店で、家から行けそうな場所にあることに気がついてからこの数日来ずっと気になっていた。僕はひとにおすすめされたものは、結構すなおに試してみるたちだ。汗みどろになったけれど、たしかにおいしかったので嬉しい。
帰宅してシャワー。しばらく上裸のまま本を読む。奥さんから退勤見込みの連絡が来てあたらしいTシャツを着て出かける。不測の事態があり、何度か家に引き返す羽目になり、電車に乗り損ねた。二本くらい後の電車では『黒人音楽史』。坂田明が出てきて、ミジンコの人だと思う間もなく、ミジンコの人として紹介されるので嬉しくなる。「赤とんぼ」を聴く。北千住で降りて、タチアタルで乾杯。まずはビールでトマトの煮浸し、水タコの酢の物、米茄子の煮浸し。それから日本酒でいわしの酒盗バター焼き。二軒目はラスベガスで餃子。さくっと電車で帰って寄り道してサンデーまで食べちゃう。いい一日だね、と満足に帰宅。
お風呂に入って洗濯を回すともう日付を越えていて、あれ、可怪しいな、と思う。洗い終えるまでに済ませようと日記を書いていたらルドンが足元にまとわりついてきて、僕のヘチマスリッパにしがみついてバリバリと爪を研ぎ始める。さいきんは右足がお気に入り。ヒトはといえば、爪を立てられる直前にさっと足を抜く動作がすっかり洗練されている。
