咳のしすぎで背中が痛い。六日あたりから不調が続き、熱がないのでけっこう動けてしまい、騙し騙しやってきたけれど、ちょっと限界を感じたので諦めて一日寝ることにする。ルドンがいそいそと布団に潜り込んできて、ほとんどずっと添い寝してくれる。というか、マットの一番いいところを占有してくる。丸くなるのでもなく、のびのびと体を伸ばしきって、いちばん場所を取る寝相で寝ている。目もきちんと瞑って静かにすやすや眠るので、すこし心配になるくらいだった。ちょっと抱き寄せておでこの匂いを嗅いでもさっぱり起きやしない。丸一日横になることで、どうにか恢復してきたような気がする。夕食は水炊きを作る。ベッドの中やキッチンでは『ポーカー・フェイス』を見る。もう夢中で見る。海外ドラマを見続けていると、だんだんお馴染みの俳優ができてくるし、こういう一話完結ものだとゲスト俳優が豪華らしく、『ピースメイカー』の鳥の見分けがつかない人や、『WATCHMEN』の天才科学者や鏡男が出てきて嬉しくなる。コロンボものは正直トリックは簡単でよく、とにかく演技合戦を楽しむものだから、いい顔と所作がたくさん出てくる。とくに探偵役のシグニチャーとしての声が重要だ。コロンボもそうだし、古畑もそうだ。あの癖になる発話と声質がドラマの味を決めている。そしてその声が鳴る体の身のこなし。ナターシャ・リオンのハスキーボイスはまさにそうした象徴としての声で、あの声が発せられるところが見たくて見続けてしまうところがある。とにかく気がよくて、流れ着く先々で弱い立場の人たちと共鳴して親切を交換し合うという人情ドラマもベタでとてもいい。こう書いてみて気がついたが、ほとんど寅さんでもある。
