2025.11.12

咳をして痰がせりあがってくる時、上顎と喉の出口のあいだのところに引っかかって外まで出てこないのがもどかしい。喉を締めてげーっとやるのだがそれでも出てこず、こうやってクルワァーッとすごい音で痰を吐く爺さんとかへと生成変化するのだなと納得する。ルドンの日向ぼっこが足りていないことに気がつき、二階の出窓の前に積んでいた林檎箱をどかしてスペースをつくる。差し込む日光が増えてぽかぽか明るく最高になって、なんでこんなとこに林檎箱置いてたんだよ。仕事部屋の壁にフックを取り付け、デムースのTシャツと間芝さんの絵を飾る。

ハンモックでだらだらと『アーレントと黒人問題』を読み、確認したい事項があり『アーレントのマルクス』の第四章を再読。息抜きに『理性の不安』と『私が諸島である』をぱらぱらやる。だいぶ持ち直したけれど、きょうまでは安静にすることにする。プラス一日余分に休養をとる。こういう判断ができるようになったのはすごい。多くの人に言われ続けた、生き急いでいるね、といつの間にか言われなくなって、なんならいつまで悠長なことやってるんだと思われかねない年頃だ。いつだって焦っていたし、いつだって呑気だった。体調悪い時にiPhoneのホーム画面の見直しをするのはなぜなんだろうか。前回の風邪の時もそうだった。今回はDuolingo とFocus Friend のふたつのアプリを追加して組み替えていった。鳥にせき立てられ、大豆くんの編み物を応援する。学習意欲。

寝すぎで腰を痛めたので、二時間弱散歩に出る。ポッドキャストを聴きながら、寝ている間に聴いておけばよかったけれど不思議と聴きたくならなかった。早歩きには1.2倍速が合う。スーパーでイカと鰯を買って、夕食は茹で魚。今度は奥さんの体調が怪しい。ボードゲームアリーナのお供はクラフトワークが正解っぽい。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。