2026.03.14

大学時代の友人たちが来宅してくれるというので、午前中は家の片づけと掃除に張り切る。都内からレンタカーでやってくるのだが、やたら道が混んでいるようで、けっきょく友人らはこの日のべ五時間半は車中にいて、家への滞在時間は二時間もなかった。こういうのはドライブ中のおしゃべりこそが楽しいはずで、だから羨ましく、帰りの車で電車組を降ろすに十分くらいのドライブに同乗させてもらったのだけれど、これも五十分かかり、だったら普段の徒歩と電車のほうがずっと早いので笑ってしまう。

家の支度を終えてからみなを待つあいだ、プロレスを追いかけたりもしていたが主に本を読んでいた。待機時間というのはやたら捗る。この日は応接の時間を除けばほとんど読書で、『「いまどきの若者」の150年史』を読み、『ゲンロンy』をちょっと触り、献本いただいた『日記をつけて何になる?』を読み終えた。蟹の親子さんの日記論は、日記を「つける」のであって「書く」のではないところが肝腎である。蟹の親子さんの文章表現はわりとややこしい「私」を練り上げているのだけれど、そのくせ日記に対してのスタンスは驚くほどケロッと恬淡としており、そのギャップがいつも面白い。その正体が「書く」と「つける」の区分にあるのだと腑に落ちる内容だった。そのうえで、あえて日記で「書く」をやりたがる自身の趣味判断について久しぶりに考えることになったが、まとまってはいない。日記本への意欲が満ち引きしているが、やっぱり作るかなという気分に傾くいい機会にもなる。

友人たちは四人の男たちで、みんな揃うとさすがに家のスケール感覚が変わる。ルドンは久々の来客でも物怖じせず、全員に均等にあいさつをして、それからいちばん構ってくれそうな一人に的確な見当をつけて猛アタックしていた。絶対に猫カフェ育ちだ。接客が上手すぎる。みんなでおしゃべりして遅めのお昼を食べ、家を案内しておしゃべりしていたらあっという間に帰る時間。ちょっとだけ車に乗せてもらうつもりが渋滞でけっこうなドライブになる。ドライブというには流れが悪すぎたが。みな当たり前に年を取り、おのおのの生活を築き上げており、それぞれの局面での楽しみや面倒がある。帰宅してルドンはとくに興奮しているわけでもなく、ふだんどおりにふだんどおりのヒトらに愛想を振りまく。誰にでも懐くというのは美徳だなと思うし、いつまでも誰にでも安心しきって懐ける世界をきみに約束しよう。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。