2021.08.04(2-p.150)

きょうは朝からずっと虚無。びっくりするくらい目に光がなくて奥さんは心配だった。僕はなんだろうこれは、かるい抑鬱状態のような感じだろうか。人生の緩急、世の地獄、心覚えしか見当たらない。本も読まなかった。喜びもしなかった。怒りもしなかった。ただ寝ていた。ただ眠たかった。休んだ方がいい、なあんにもしないで横になっていた方がいい。そう思いながら粛々と仕事をしたりなどした。18時からは戴冠式だった。少しずつ遊んでますます笑顔は失われるようだった。みんな楽しい気持ちになりたくてゲームをするんじゃないの……? と泣き言を言うと、奥さんは、楽しい気持ちになりたくて本を読むとは限らないでしょ、と応えた。それはそうだ。僕は一括りに「楽しい」と言いがちだが、本を読むのも最低な気分になりたいからだし、憤りたいからだし、悲しみたいからだし、多幸感に包まれたいからだし、許したいからだし、救われたいからだし、とにかくただ読みたいからだった。ゲームもなんでもそうだろう。ただしたいからするのだ。では、日記もそこそこに、僕はブリテンに戻ります。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。