朝起きて洗濯を済ませて家を出る。紙袋ふたつぶら下げてる。外に出ると寒くて、昨日は秋だったのに今日は冬だ! と驚く。
虎ノ門ヒルズ駅で降りて、かつてはここはヒルしかなかったのにすでにヒルズを名乗っていたのだ、という奥さんの話に頷きつつ、どのヒルか迷いながらSPBS TORANOMON さんへ辿り着く。何度か来てるのに何度も迷う。今回真っ先にご連絡をくれたお店。『プルーストを読む生活』も展開してもらえてる。挨拶をして、納品。その後ぷらぷらと棚を眺める。いいんだよなあ。毎回行くたびにマネーゲームでない社会への働きかけとしてのビジネスのあり方をさりげなく提示してる感じが格好よく、あと食に関する本の揃え方にただものでなさを感じる。今回はフィッシュ&チップスと発酵の二冊。別のヒルのカフェでお茶して、移動。学芸大学へ。
納品ツイートに松井さんが反応くださって、今日の日付は僕のプルーストを読む生活の最後の日らしい。そんな日にその続きの日々の本の初めての納品がなされてる。たしかにこれは何とも言えずいい。
SUNNY BOY BOOKS さんへ納品。こちらはサイン本。こちらの棚も変わらず僕はとても信頼ができる棚で、東京でいちばんON READING に近しいものを感じるのはここだった。頭がお洒落になる感じがある。ケルト人の民俗が民族に移っていくことを論じたっぽい本と、香山哲さんの新刊を買う。それから予約していたLodge Bistro SARU でランチ。グリルとフレンチトーストのセットで、僕はサーモンときのこ、奥さんはステーキ。とっても美味しく満足。
せっかくここまで来たし、と東横線で元町・中華街駅まで出る。学生のころに行ってからなんとなく節目で遊びに行く鳳占やかたへ。特にこれで今後を決めたことはないけれど、占いは悩みも相談もない時に行くといい娯楽というか、知らない人に自分達のことを親身に勝手に喋ってもらえるというのは愉快。なんだかんだで当たってるような気もするとより愉快。たくさん笑った。僕と奥さんは仲良しらしい。その場で手相やシートを読み解いて解説していくのだけど、ものすごい速さだ。読み解くものはコードがあり、ある程度内容は固定されるとはいえ解釈の幅は広く、それを相手の顔色や、よくない部分は意図的に捨てたりしつつ、いいことだけをテンポよく教えていく。これはとても高度な技術。楽しそう。僕も副業占い師になりたい、と来るたびに思う。占いとはたいへん劇場的で、一回限りのクローズドな上演なのだ。
あなたは崖をひとりで果敢に登るようなことはない。誰かに助けてもらう。
今日の占いでこれがいちばん気に入った。
外はもう暗くて雨も降っている。悟空で茶葉を買い込んで、満足なのでさっさと帰ることに。こうして深追いせずにサクッと帰れるの、足るを知ってるね、とお互いに褒め合う。帰りの電車で駅に着く頃、ふとエリックサウスで晩御飯にするか、と思いついて虎ノ門ヒルズで途中下車。でもヒルズの地下のレストランは土日は営業してなくて困りかけた。気を取り直してナンディニでミールスをしこたま食べる。お腹いっぱいで苦しい。さっきまで足るを知ってたのに……、と奥さんは無念そうだ。冷たい雨のなか腹ごなしに銀座まで歩く。めっちゃ降ってるじゃん。